歯車を逆回転させると見えてくる世界(お金シリーズ#004)

いいタイトルをつけた気がするけど忘れてしまった 2019 ©︎ Hanae Tanazawa
いいタイトルをつけた気がするけど忘れてしまった 2019 ©︎ Hanae Tanazawa

 

 

お金シリーズ続けますね。

 

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序章

#001

#002

#003

 

 

 

高校の数学問題を考えるのに、小1の算数の知識から積み上げないと解けないように、お金も101(基礎)がなくて現代のお金の話なんて理解できないと思うんです。(あ、今回はヤバハナちゃんお休みです笑)。

 

これは私も陥っていることですが、ここ数年で世の中に出回っている言葉や概念、暗号資産とかNFTとかDAOとかブロックチェーンとかあと何、ちょっと違うけどメタバースとかWeb3.0とか、普通に投資とか、こういう話題ってどれくらいの人がついていけてるんだろうと思います。私は本当に経済とか金融とかのセンスがないので本当はさっさと脱落したいんだけど、そうすると先々もっと困ることになりそうなので、なんとか理解しようともがいています(でも本当は浮世離れした自給自足に憧れるタイプ・・・)。

 

 

2020年あたりから世の中の変化が激しく、ここからいっそう激化しそうと感じる中で、やっぱり今までの価値観だけでは続いていかれなそうだし、急にメタバースとかに放り込まれても自分とか生きる目的とか見失ってしまいそう。AIに仕事奪われるとか、普通に考えてほんと意味不明なんだけど、世の中をこういう方向に進ませている一番大きな要因が私はやはりお金なんだろうと思うのです。

 

世の変化のスピードからすると私が書いていることは初歩すぎて、さっさと巻いていかないと間に合わないような気もしています。が、めちゃくちゃ大事なピラミッドの底辺部分だと思うので、この辺は分厚めに理解を深めてもらえたら嬉しいです。

 

もちろん私などが斬新な答えを持っているはずなどなく、自己学習の一環としてアウトプットはしますが、たまたま不思議なご縁でこの場に読みにきている皆さんも、ご自身で考えたり学んだりしながら、なんとか一緒にこの時代の荒波を乗り越えていけたらと思います!少なくとも、お金のせいで人格否定されたような気分の方、先行きに不安を覚える方、選択肢が限られていると感じる方・・・それは現在の貨幣システムではむしろ当然のことで、あなたがやってきたことが悪いとか間違っているとかではないことを改めてしっかりと刷り込んでくださいね。

 

 

***

 

 

ここまで、あらゆる自然の産物とは違いお金だけが減価しないというお話でしたが、実は減価する貨幣システムがあったという例も一つ紹介したいと思います。

 

現在古代文明と呼ばれる地域の多くは、発展途上国と呼ばれるエリアに属しています。ユーフラテス、マヤ、インカなど・・・。エジプトもその一つですが、古代エジプトの繁栄には、実は減価する貨幣システムが関係していたようです。

 

当時のエジプトの農民は穀物を備蓄倉庫に持っていき、そこで保管してもらっていました。保管にはネズミなどによる食害や保管費用がかかります。なので受領証として受け取る、穀物料と引き渡し日が焼き込まれた陶片(オストラコン)には、それらの負のコスト(減価率)が反映されていました。そしてこの陶片は、収めた穀物を担保とした、減価するお金としての機能を果たしていました。

 

陶片を大切に持っていてもただ価値が下がるだけなので、農民達は別の形で自分たちの資産を守るよう考えました。その結果、自分たちの灌漑施設や土地の整備など、長期的な利益(肥沃なナイル)をもたらすものに積極的にお金を使ったのです。そのシステムは、エジプトがローマ帝国に征服されて、ローマのプラス金利のシステムが導入されるまで続きました。

 

・・・

 

これはちょっと想像するとすぐわかるのですが、例えば今あなたが一月毎に1%減価する10,000円を報酬として受け取ったとします。1ヶ月後には9,900円、2ヶ月後には9,801円になるお札を握りしめて、あなただったらそれをどうしますか?

 

貯めておこうにも最終的には0になってしまうので、別にモラルとか関係なく(むしろ私利が働いて)、自分や周りの生活をよりよくするものに使うと思います。家や職場の設備に投資するとか、食事(健康)に投資するとか、野菜を植えるとか・・・。なるべくどうでもいいものではなくて、10,000円の価値以上になるもの(長期的な資産になるもの)に転換させると思います。そうすると、「いつかゆとりができた」時のあなたではなく、今の目の前にあるあなたの生活と、その先の暮らしが少しずつ良くなります。つまりそれだけで、「ローンがあるから今は百均グッズで我慢」とかとは真逆の価値観を自然に持てるようになります。

 

こう考えると、今私たちが陥っている様々な問題は、歯車の一部が狂っているとかそういうレベルの話ではなくて、歯車全体の回っている方向がそもそも間違っていて、それを正常の回転に戻す(自然の原理に合った方向に回転させる)だけで、正気を取り戻したように多くのことが解決する気がするのです。

 

減価する貨幣システムに関してはもっと興味深い例が色々書かれているので、ぜひ『エンデの警鐘』を読んでみてほしいです(よければお貸します)。でも、ここまで色々と良さげなことを言っていますが、貨幣を減価させればそれでいいのかとか、そんなことが可能なのかとかは私にも正直よくわからないのです。これまで数々の社会実験や運用がされていますが、なんだかんだ言って大きく変わっていないのは、それ以上の大きな(変えたくない人たちの)力が働いているということなんでしょうね・・・。

 

 

今回はここまで。

 

 

 

参考:

河邑厚徳+グループ現代著『エンデの遺言〜根元からお金を問うこと〜』NHK出版第15版, 2000年, pp. 242-245; pp.143-152

 

*↓1/29追記:一月毎に1%ずつ減価する貨幣を実際に運用し大成功させたオーストリアの「ヴェルグル」という町の例を、少し長いけど掲載しておきます。頑張って拡大して読んでみてください!

 

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