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「ご近所さん」



 

 ご近所さんは重要である。ご近所さんは、暮らしの良し悪しの五割方を決めると言っても過言ではない。

 どんなに素敵な家に住み、家の中を自分の好みにしたとて、ご近所さんがあまりにも突飛であれば、外に出るのも、風景を眺めるのも憂鬱になってしまう。

 私がマイホームを持てる気がしないのも、ここに少なからずの原因がある気がする。家は一度持ってしまったら、そのまま動かすことができない代物であるから。

 なので私はヤドカリ式がいい。その時々の自分の規格に合わせて、身軽にサイズも場所も変えるヤドカリ。都度都度、大好きなインテリアデザインを楽しめるのも利点である。

 もしもご近所さんを固定するような定住を考えるなら、国立公園内という条件のもと建蔽率の定まった、つまり建物が隣接することのない山中湖が良い。広めにとらなければいけない庭の木々はソフトながら頼れるバッファーとなり、私のメインのご近所付き合いは、鹿家族らとの対峙となる。


(12月16日筆・10分)



 

zuihitsu・・・前日自分に課したキーワードをお題に、最低400字(原稿用紙1枚)で書く練習をしているものの一部出し

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