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「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」展

  • tanazawahanae317
  • 4月23日
  • 読了時間: 4分

Photo by Yuka Mamba
Photo by Yuka Mamba

東京都庭園美術館(目黒)で現在開催中の「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」展に行ってまいりました!素晴らしかった!また行きたいくらい好き!!

ドイツのグラフィックデザインを扱った展示で、フリーランス仲間(若いけどよっぽど先輩!)のフォトグラファー・ナンバちゃんが忙しい合間を縫って誘いに乗ってくれて、お日柄もよい中出かけてまいりました。ナンバちゃんも元々絵を描いていただけあり、また時折写真の知識もシェアしてくれて、二人で終始テンション上がりまくり。


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朝香宮家の邸宅として1933年に建てられ、1983年に美術館として改装されたという東京都庭園美術館は、こだわり尽くされたアール・デコの設計と装飾が上品かつ優雅で、頭上高くから足元の些細なところまで、全身ぐるりと美しいデザインに取り囲まれて早々に目が足りないことに気づかされます。私は元々アール・ヌーボーとかその辺りが正直好みでなかったので全く詳しくないのだけど(いつかちゃんと学ぼう!)、アンリ・ラパンやルネ・ラリックなど著名なデザイナーが関わっており、国の重要文化財ともなっている建物。美しいディテールと職人技の数々に目が奪われ、これでは展示に集中できないと、まずは展示を見て、その後建築を見るためにもう一周しようとわざわざ取り決めたほどに、建物が醸す本物感は一見の価値あり。広間や部屋を利用した展示は順路がわかりにくい難点がありつつも豪邸探索のような面白さがあり、邸宅横に建てられた新館は広々と現代的で、展示ボリュームも見応え十分。空間と内容共に満たされたひと時でした。


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ドイツのデザインに関しては「バウハウス」と言う単語をかろうじて聞いたことがある程度で、観る機会もほとんどなかったので新鮮な学びがたくさんありました。

今回知り、際立って印象に残ったのがハンス・ヒルマン (Hans Hillman)ミヒャエル・エンゲルマン(Michael Engelmann)ハインツ・エーデルマン (Heinz Edelmann)と言うデザイナー方のお名前(ドイツ語の名前って似てたり発音おもしろかったりで覚えにくい・・・英語表記の方が覚えやすいかも)。自由な表現にアイディアと技量の宝庫。毛穴の全てが感受体となって私は少々オーバーヒート気味になっていたかもしれないです。


二十世紀のドイツは戦争やナチズムという世界を揺るがす負の歴史を抱えており、自宅に戻り購入した図録を読みながら、そういえばヒトラーは元々画家志望であったことや、デザインをプロパガンダに活用したことなどもぼんやりと思い出しながら、クリエイティビティが時代に翻弄され、順じたり、掻い潜ったり、いつも一筋縄ではない可能性があったことも思い出されました。今回の展示物は戦後なのでもしかしたら解放された表現が際立っていたかもしれないけど、戦前・戦中などと比べることができたら、どのようにデザインが影響を受けたり、反対に世の中に影響を及ぼしたりしているかといったビジュアル的指標になるかもしれません。

例えば私の時代に戦争が起きて、デザイナーとして政治的圧力を受け、何かのためにやりたくないをやったり、あるいはやらないでみれたりするものなのかと、日頃そういうことを考えない訳でもないのです。


基本的にデザインは世の中が自由であればあるほど爆発するし、人を楽しませるものだと思うから、いつもそれが叶うような明るい世の中であってほしい・・・と思うべきなのか、そういう世の中を作る役割をデザイン自体がまず担っているものなのか。冷静になってから、考えることもまた深まったような気がします。


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東京都庭園美術館は愛情深く手入れされた高い木々のトンネルを抜けるところが異世界の始まり。広いお庭も解放的でところどころベンチあり、今度はゆっくりお庭でも過ごしてみたいです。

機会があればぜひ。



今回特に印象的だった映画ポスター二枚。ハンス・ヒルマンによるもの。こんなのが作れたら長いこと見つめてニヤニヤしてしまうだろうな
今回特に印象的だった映画ポスター二枚。ハンス・ヒルマンによるもの。こんなのが作れたら長いこと見つめてニヤニヤしてしまうだろうな







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