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坂本龍一展

  • tanazawahanae317
  • 3月20日
  • 読了時間: 4分


好きだったインスタレーション
好きだったインスタレーション

先週、東京都現代美術館で開催中の「坂本龍一 音を視る 時を聴く」展に行ってきました!

今年に入ってから観たい展覧会が多すぎて大変。実は明日もまた行くんだけど、その前にこちらをレビュー。

今回は無料招待券をいただいたのと、20代の頃坂本龍一の「BTTB」というアルバムをよく聴いていたことがあったので行きましたが、まぁ〜すごい人の群れでした!会場入りまで55分!(その前に私50分の大遅刻!汗/笑)


12点のインスタレーション作品が設置されており、大きなモニターを使った映像作品が多い印象でした。なんというか、何かを極める人には当然の成り行きなのだろうけど、この方も本当に「音の変態」だったのだろうなと。様々な電子機器やインターネットが発展した時代、これまで人類が聞いたこともないような電子的表現に興味を持たれたように思います。様々な音を集め、他のアーティストらとのコラボレーションという形で視覚表現がされていました。


……さて、ここで本音。


私は改めて、コンテンポラリー・アート(現代美術)があまり好きではないんだなと認識してしまいました。

コンテンポラリー・アートが何かという定義は私も明確ではないけれど、ちょっと前から今現在生み出されているアート。複雑で概念的な表現が多く、同時代の人間でありながら、私はなかなか共鳴しにくいのです。調べると1990年代以降くらいとあるけれど、私的にはもう少し前から苦手な時代になっています。


何が一番引っ掛かるかというと、観るだけで伝わってくるような視覚表現ではなくて、頭で考えなくてはいけない概念的な表現が多いこと。その作品の意図を理解するために、たくさんの文字で書かれた説明書きをどこかのタイミングで読まなければならないこと。ここに大きな矛盾を感じてしまって作品そのものに集中できません。


言葉が物足りないから様々なアート、visual language(視覚言語)が存在すると思うのだけど、現代アートにはこの「言葉」に頼ってしまう要素が強い……。もちろんアートがどうあるべきなんて一概化することの方が間違っているのかもしれないけれど、視覚(非言語)だけで訴えられないことは少し弱みのようにも感じてしまいます。


今回の展覧会でも、そんな概念的な作品を多くの人の頭越しに眺めながら、このうちのどれくらいの人が坂本龍一の真意に共鳴しているのだろうと思っていました。

人が何かに感激する時、それは言葉にならなくても、涙や震えや鳥肌となって表われてくるものです。それを、あの会場でどれだけの人が感じることができたのだろう……。私は途中から、多くの人の頭上に「?」「??」があるように見えて、その光景こそが巨大な一つのアートのような気すらしてしまいました。


ディスるようで申し訳ないのだけれど、ほとんどの人が「裸の王様」が着ている見えないローブをなんとか見ようとしているかのようで、そこに純粋無垢な、「あの人は裸だ!」って言ってくれる子どもが一人でも現れたら、多くの人が「ああ、やっぱり裸だったよね!」って我に返るような、そんな騙されている感が私は拭えなかったのです。坂本龍一を裸の王様と言う訳ではないのだけれど、それくらい知覚しにくいという意味で、同系の現代アートにこの感覚を覚えることが多いです。これは私が現代に生きているからであって、何十年か後にきちんと美術史として、この時代のアートの狙いや意義みたいなものを知識として入れた上で鑑賞したらまた全然違ってくるのかもしれないのだけれど、今の素直な感想はそのようなものになってしまいます。この無理解を超越する大きな覚醒が果たして私にやってくるのか。その時が訪れたら、私は感激と共にそれを表現したいと思います。


……とは言え後半では好きな作品もありました。ピアノを奏でる坂本龍一のホログラムが、本物のピアノの鍵盤と連動して視覚/聴覚化され、それはそれは美しいものでした。この直接心に伝わってくる感じが、私にとってはアートなのです。そしてやっぱりシンプルにピアニスト・坂本龍一が好きだったのだなと思いました。


この日は2時着予定が3時になり、入場できたのが4時。出た時には暗くなっていたので、土地の名物・深川飯を食べて帰ることにしました。

超洗練されたエッジーな世界から振り切って一般民家のようなお店の二階の床に座って食べた深川飯は、ふっくらとしたアサリが最小限の味付けで山盛りに盛られており、食べきれなかったら持って帰ってねとラップまで置かれている配慮。超庶民的でエッジー、今日は両極端を楽しめたねと、いつも無茶振りに付き合ってくれるナオコさんとの大満足な一日だったのでした。遅刻も大らかに許してくださり、いつも、この日も、ありがとうございました!




美味しかった〜
美味しかった〜



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