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「鏡」

  • tanazawahanae317
  • 4月30日
  • 読了時間: 2分

未知との遭遇 An Unexpected Encounter 2023 © Hanae Tanazawa
未知との遭遇 An Unexpected Encounter 2023 © Hanae Tanazawa

 日本で普通に生きていれば、どんなに頓着のない人でも日に何度かは鏡を見ることがあるだろう。トイレにもお風呂場にも大抵鏡はあるし、慎ましい暮らしの我が家にも大・中・小・卓上用と四枚の鏡が置いてある。

 最近何かのきっかけでパソコンのカメラで自分を見てみたら、鏡とは良くも悪くも見え方が違って、「これも自分」と見たくないものを直視するつもりでオンにして顔のトレーニングをしてみている。カメラなので試しに撮った自分の顔が、鏡とは反転して写真になった時、あまりにも左右が違っていてショックを受けたのだ。そういえば、私が見慣れている私の顔は鏡の中の私であって、それは常に事実とは反転している。世の中でこの顔が私と認識しているのは、私しかいないのだ!

 パソコンのカメラと卓上鏡を並べて置いてみると、構造が違うので当然だが、同じ光なのに見え方が全然違う。

 よく考えたら、家の中の四枚の鏡だけでも設置場所が違うので見え方が全然違うし、外出先のトイレの鏡などはライティングによって非常に、時に自信を高めてくれるほどに良く見えることもあれば、人前に戻りたくなくなるような残念な見え方をする時もある。好きな人の前に座った時のライティングはどのように自分を照らしてくれているのだろうかと不安になったりもする。

 考えてみれば、人間誰しも、(うまい具合に幽体離脱でもできない限りは!)実物の、左右反転していない、動く自分を見ることはできないのだ。

 鏡によってこんなにも見え方が違う自分。

 カメラによって、カメラマンの腕やセンスによって、良くも、悪くも見えてしまう自分。

 もしも願いが叶うなら、たった一度でいいから、他人が自分を見るように、自分の肉眼で自分をまじまじとみてみたい。

 自分の肌は、髪は、後ろ姿は……自分が思っている通りのものなのか。それよりもひどいのか。意外と気にするほどでもないのか。

 一度でいいから、自分を外からもよくよく知ってみたいものだと思う。



(4月24日筆・25分)



zuihitsu・・・前日自分に課したキーワードをお題に、最低400字(原稿用紙1枚)で書く練習をしているものの一部出し

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