少し、隙間時間。
今ね、とある作家さんのちょっとした作品集を作ってるんだ。そんなに分厚くはないけど、楽しいお仕事。作品一つ一つの素晴らしさを、どうやって魅せよう、伝えよう。
大好きな画集コレクションを引っ張り出して、ブックデザインそのものを研究。
自分がずっと大好きで集めてきたものを、自分自身が作れるだなんて!
文字の大きさは、とか、画像の配置の仕方は、とか、紙の厚みや種類は・・・
今までと違う見方で、大好きな画集を眺めるこの数日。
楽しくて、時々ね、私の中の小さな加山雄三さんが現れて、
両手を頭の裏に、何かにもたれかかって、少し高いところをぼんやり眺めながら呟くんだよね。
「ぼかぁ、幸せだなぁ・・・」
・・・って。笑
あの感じ。あのしみじみとした感じ。
好きなことができている、その幸せ。
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私、アートは一応アカデミックに習ったけど(って言ってもたったの2年だけど)、デザインはほぼ独学。それが自分の強みでもあり、コンプレックスでもある。
強みというのは、座学で学ばなかった分、「デザインとはこうあるべき」という固定観念がそこまでない(と思われる)こと。自分が好きなデザインを参考に、あくまでも自分の基準を信じて作る。今更デザインの常識とか知るの怖すぎて(色々間違ってる可能性あるじゃん!)、いわゆるデザイン本は一冊も持ってない。気になったら調べて、人様から意見聞いて、の積み重ね。
コンプレックスは、こんなやり方でいいのかな?プロから見たらおかしいかな?ってやっぱり少し気にしてしまうところ。デザイン事務所とかで修行もしてないし、先輩とか同業の知り合いもいない。同業者的にどうなんだろうな、私のデザイン・・・怖くて聞けない・・・。
でも、以前もどこかで書いたけど、この世界に明確な正解はないから(例え学術的に学んでいたとしても!)、とにかく自分も相手(クライアント&エンドユーザー)もいいと思えればそれがゴール。これ、究極の自己信頼の訓練なんだけど、日々、「この(対象物の)何を見て、自分は美しいって感じてるんだろう」って考えることが学び。要素は、バランスだったり、色彩、スケール、素材、主題・・・などなど。
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ブックデザインにあたって、本のデザインマニュアルは読まない。
代わりに、
私は1アートファンとして、大好きな画集の何を見ていたっけ・・・
って考える。
そんな目線で様々なブックデザインを眺めていたら、唯一間違ってはいけない回答に辿り着いた。それは、私(デザイナー)のエゴで作るのではなくて、アーティストの作品にしっかりとスポットライトを当てること!
なので、
徹底的に黒子になれればいい。
なるべく自分の存在を消して、ファンの皆さんがアーティストさんの世界に没入できるように。
そう思ったら、勝手に感じていたプレッシャーから少しずつ解放されていったのでした・・・。
デザイナーってね、アーティストと全然違うの。
そんな話もいつかできたら。