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2023年

9月

20日

新境地開拓

 

 

ずっと興味のなかったデジタルドローイングに、最近ついに手を出しました!

 

ちょっと前にたまたまおすすめに出てきた動画で、デジタルなのに水彩画のようなニュアンスで絵を描いている方がいて、デジタルでこんな表現ができるんだ!ってとっても引き込まれたのです。よくある滑らかな質感のデジタルイラストは好きじゃなかったけど、これだったら私の苦手をカバーしつつ、プロジェクトに合わせてできることが増えるかも、って初めて可能性を感じました。

 

iPadが必要で、ProcreateというiPad専用のドローイングソフトをインストールして始めるのだけど、自分に合わない可能性もあるからいきなりiPad買うのもリスクあるな(基本PCあるし〜)って思ってたけど・・・

 

この話を、新しくプロジェクトをご一緒させていただくことになった方に話したら、

「iPadあるよ、貸してあげるよ!」

って!

 

その日のうちにお借りすることができて、なんと1週間もたたないうちに全ての環境が揃ってしまいました(Apple Pencilとペーパーライクフィルターとソフトは自分で購入)。

 

物を買う時は割とじっくり考える派なので、私的にはすごく展開が早くて、「やれ!」との強力な後押しを感じました。

 

それでいざ始めてみて気づいたのだけど、なんと出したい水彩表現とかを始めるには、デジタルの筆(タッチ)を買ったり、デジタルの紙を買ったりするのですよー。びっくり。そんな世界があったとは。

 

デジタルイラストの良いところは、気に入るまで何度でも戻ったり修正できることだけど、これが癖付いちゃって、実際の紙に絵が描けなくならないように気をつけなきゃと思っています。

 

リアルに右手に鉛筆、左手に消しゴム、みたいな合理性がなくて、一々タッチして変えないといけないから、没入感が物足りず、今のところは実際の紙と画材で描く方が断然楽しいですけどね!

 

ハマるかな?

 

 

 練習スケッチ→

 

デジタルの紙に

デジタルの鉛筆と

デジタルの色付け

 

なかなかの質感表現じゃない?

 ←使い方はYouTube先生に

教えてもらっています

自分で筆の質感ボコボコに微調整したらいい感じのタッチに。イラストになっても かわいいミー・・・
自分で筆の質感ボコボコに微調整したらいい感じのタッチに。イラストになっても かわいいミー・・・

2023年

9月

12日

Virtual Insanity

 

 

夢でジャミロクワイの名曲 "Virtual Insanity” があの傑作すぎるMVの映像と共に流れてきて、初めて夢の中で「そういうことか!」ってenlightした今朝の5時過ぎ。

 

 

2週間くらい前に偶然、あのMVの動く床の正体が、実は動いていたのは床ではなくてそれを囲っていた壁(や家具)だったと知ってとても驚いたのだけど、そうだと知ってあの映像を何度見返しても、やっぱり床が動いているようにしか見えない。

 

 

そのまま私の潜在意識に潜り込んだらしく、2週間くらいの時を経て、悟りの教材のように夢の中に戻ってきた"Virtual Insanity" ー 直訳すると「仮想の狂気」。

 

 

気になりすぎて、まだ5時台にそのまま寝床でパソコンを開いて歌詞を調べたりした。

(何人かの方が翻訳されているので、よかったら見てみて。書いたきっかけは日本とか)

 

 

2週間を経て自分の中にジャミロクワイが戻ってきたことの意味は大きかった。

 

夢の中だというのに、驚いたほどに。

 

 

***

 

 

実はここ数日、急に気になって初めて9.11テロ事件のことを詳しく調べていました。

 

改めてひどい事件だと思ったけど、その後、実際には耳を疑うような説も多々あることを知り・・・。米政府自作自演説や、事前にテロを知っていた説などのそれらを、私は今までのように陰謀論とスルーせず調べ始めました。意外にも科学的検証や証言も多く、今度は全てがひっくり返るように違った視界が拓けてきました。これが一部でも事実であったなら・・・。あまりにも酷く信じ難い話なので結局受け入れられずにいるけど、確かに不可解な点も多いのです。

 

メディアにとって「陰謀論」というレッテル張りは何かと都合がよく、どんなに騒がれてもひとまとめにして一掃することができます。でも最近のジャニーズ問題のように、想像をはるかに超える事実も存在することがわかった今、都市伝説や陰謀と呼ばれる情報に対して、少し偏見を和らげるようになりました。

 

色んなことで、なんとなく見ていた視点そのものが、オセロのようにひっくり返されています。

 

最近は、もうこれ以上知りたくない、シェアも何もかもやめるって思ったほどにシャットアウトしたくなったけど・・・それをしちゃいけない。そうしてきたから、今があるから。

 

 

どう見たって床が動いているようにしか見えない世の中で、真実は壁の方が動いていたということだって、あり得ると思うのです・・・。

 

 

 

 

2023年

9月

04日

スネ夫も大変、の巻(お金シリーズ#013)

打ち出の小槌 2020 ©︎ Hanae Tanazawa
打ち出の小槌 2020 ©︎ Hanae Tanazawa

 

お金シリーズ!

 

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#012

 

今回はこれまでの、特に#009#008も少し)の伏線回収になりますので、よければおさらいしてみて下さいね。

 

 

***

 

 

お金は信用創造という方法で、誰かが借金するのと同時に発行されるという話でした。そして、借金を返す際には元本+利息が必要となるため、世の中に不足を生み出すということも。

 

この信用創造によりお金が増えることは、まさに「バブル」=泡が膨らんでいくっていうイメージがぴったりです。泡が膨らむ様子は見ていてワクワクするけど、危うさもあり、その実態は曖昧です。

 

なんでもそうですが、多く作られすぎたものは価値が薄まる傾向があります。そのため、バブル経済で膨らみすぎたお金(借金)の量をコントロールするため、当時の日銀は量的規制を行うことにしました。しかしそれが予想以上の景気後退を促し、バブル崩壊を起こしてしまいました。

 

1991年のバブル崩壊後、信用創造の反対の現象として、「信用収縮」が起こりました。銀行が今までのようにお金を貸さなくなり、つまり借金=お金が減っていったのです。一時期、民間銀行の貸出残高は約500兆円から400兆円まで、100兆円近くも減少しました。(大西, p.53 / 下の図参照)

 

 

 

 

#011の公園のシチュエーションに戻ります。

 

*ちょっと抽象的になるので想像力を使ってくださいね。

 

信用収縮が起こった公園内は、お金が減ったことで返済できない子どもたちで溢れかえりました。あんなに簡単にお金を貸してくれた出来杉くん(銀行)は、いくら頼んでも、返済能力のない子どもたちを信用することがなく、貸し渋るようになりました。(事前に設定してたわけじゃないけど、ここから公園=国子ども=民間企業と置き換えて考えていきましょう。)

 

このままお金が減り続けると、公園(国)全体が大変なことになってしまうので、ここで無理矢理にでもお金を増やし、国を立て直そうと動いたのがスネ夫(政府)でした(設定思い出してくださいねー)!

 

スネ夫は国のリーダーとして、子どもたちが借りられなくなった分、自分が借金をしてでもお金を生み出すようになりました。そうでもしなければ、一国のリーダーとして権力の座を維持できなくなったからです。

 

 

この時の状況を説明するグラフがあるので拝借します。↓

 

出典:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, p. 56
出典:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, p. 56

 

 

 

すぐにはピンとこないと思うので、公園の例で解説をつけるとこんな感じ↓

 

 

一番上の線はマネーストックM2というもので、国内の全ての現金・預貯金のざっくり総額と捉えてください(本当はちょっと違うけど詳しいことは下記資料を読んでください)。

 

見てわかる通り、バブル崩壊までは、民間銀行貸出(子どもたちによる借金)がM2の線をピッタリと沿うように下支えしていました(なぜならお金=借金だから)。

 

バブルが崩壊すると、信用収縮が起き、子どもたちは銀行からお金を借りられなくなりました。

 

点線のGDPを見ると、右肩上りだったものが徐々に横ばいになっています。経済成長がなくては銀行は貸したくても貸せません。

 

誰かが借金してお金を生み出さないと回らないのが今の金融システムなので、借りられなくなった子どもたち(民間企業)の代わりに借金するようになったのがスネ夫(政府)というのがグラフの青い部分です。今ではM2の線を下支えするのはこの国債残高(=政府の借金)なのが見てとれます。

 

ここで、勘の鋭い方は気付くかもしれませんが、#009で触れた政府の借金とはまさにこの部分のことなのです!(伏線回収!)

 

 

・・・と、いうことは、ですよ!?

 

このおかしな金融システムに翻弄されているのは、何も私たち一般人だけではなくて、実は政府も、と言って良さそうなのです。 事実、世界中の国々が翻弄されていて、地球も経済もう限界に近づいています(この辺の深掘りを先々)。

 

 

スネ夫だって大変なのよ・・・。

 

 

なので優しい目で見ると、政府が必ずしも無駄遣いしているとか(←あると思うけど)、税収が足りてないとかが国の借金の本当の原因ではなく、実は使っているシステムがおかしいっていうだけの話なのです。

 

システムがおかしいんだから、システムを変えればいいっていう話を大西さん含めいろんな方が声を上げてはいるんですが、そういう情報が大手メディアでは扱われなかったり、潰されているところを見ると、政治家たちは本当にこのことを知らずに政治をしているのか、または知っていて何かの理由で隠している、っていうことになり、どちらにしても問題です。でもこの借金の解釈を「国民の借金」とすり替えて報道しているあたり、何かウラがある気がします。

 

 

ちょっと逸れるけど、例えば老後資金2000万円必要とか、そういうお話。そのまま受け取ったらゾッとする話だけど、冷静に考えて、国民全員が本当にそれだけ貯め込むようになったら、一体どんな世の中になるでしょうか。

 

と、(急に思い出した)実はこの2000万円発言をした麻生太郎さんは、このお金の仕組みをよくわかっていました!

 

日本の借金問題を麻生太郎がわかりやすく解説 (8:29の動画)

 

3年前に一度見たのを久々に見つけたけど、誰よりもわかりやすく面白く解説してて、しかも「お母ちゃんのポケットからお金を借りる」とか、私覚えてなかったから真似したつもりなかったけど、例えとしては合ってたみたい。笑 これだけわかってて財務大臣になった途端に真逆の態度になったんだから、あの人は完全にクロだわ。笑 でもこの動画見たらちょっと好きになるわ。笑

 

脱線したけどそんな感じで、 いろんなことが、私たちがよくわかってないことをいいことに、「あーそっか、そんなもんなのかぁ」と思うように仕向けられている気がします。

 

なので学んで安心していきましょうね。

 

 

おやすみなさい! 

 

 

 

参考図書:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, pp. 53-57

*数年前の書籍のため、具体的な数字は今とは違うところがあります

2023年

9月

04日

椅子は減るよ、どこまでも(お金シリーズ#012)

North Polar Bear on Ice(仮) 2019 ©︎ Hanae Tanazawa
North Polar Bear on Ice(仮) 2019 ©︎ Hanae Tanazawa

 

宣言通り、お金シリーズです!

 

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***

 

 

前回(#011)は「信用創造」について触れたのですが、現代のお金(という数字)は、誰かが借金することで発行されるので、この借金には必ず金利が発生します。

 

 

#011のシチュエーションでいうと、仮に出来杉くんが公園にいる全ての子どもたちに年利2%でお金を貸していた場合(抜かりないのです、出来杉くんは)、

 

しずかちゃんが一年後出来杉くん(銀行)に返すお金は、借りた900円+金利2%分(900x0.02)=918円。

 

その後お金を借りたハナエが返すお金は、810+(810x0.02)=826円。

 

その次の子どもは729円+(729x0.02)=744円。

 

・・・などと続いていきます。

 

つまり、しずかちゃんは、使ってしまった900円だけ集めて返せばいいというわけではなく、余分に誰かから18円稼いで返す必要が出てくるのです。同じことを全員が全員、お互いに対してやるのですから、当然世の中にはお金が足りなくなります。50人程度が集う公園の子どもの間だけでも、様々な諍いが生じることは直感的に想像できるかと思います。

 

そういうわけで、稼げる人間と稼げない人間の間で格差や競争が生まれたり、利息分を稼ぐために、環境や人権が搾取されたりということが起こってきます。

 

 

このように、借金でお金を発行し、それを返すということを続けている限り、必ず元本+利息分のお金が最終的に消えていきます(大西, p.52)。本当にお金がなくなったら世の中が回らなくなるので、この借金による信用創造を無限に繰り返し、出来上がったのが今のおかしな貨幣システムです(→この深掘りを次回)。

 

このことを、〈壮大な椅子取りゲーム〉と最初に例えたのは誰だったかわかりませんが、私たちは一人残らず、この〈壮大な椅子取りゲーム〉に駆り出されています。借金していても、いなくても、全ての物やサービスには金利分のお金が上乗せされているからです。そのお金を支払えない人間は、一人ずつゲームから脱落していきます。ゲームの椅子の数はどんどん減っていき、音楽はどんどん早くなっていきます。誰もがホームレスになりたくなくて、今日や明日の椅子のために、他人を押し退け生きることを強いられています。

 

 

だから、何度でも強調しますが、もしあなたがどうやっても他人と比べてしまう自分がいるとか、いつまでも楽にならないというのなら、この「システム」に根本的な原因があるということをはっきりと認識してくださいね!私たちが駆り出されているこの架空のマネーゲームが、あまりにもおかしなルールにより成り立っているのです。

 

 

***

 

 

・・・と、今回書いていてやっと私も腑に落ちることがありました(何度も何度も読んでいたのに)!やっぱり自分でアウトプットするってすごく大事!

 

この先書き進められる気がしてきたので、小出しでもっと頻繁にアップできたらいいな。明日続きアップしちゃうかも?宣言?

 

よかったらついてきてくださいね!

 

 

 

 

参考図書①:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, pp. 51-53

参考図書②:河邑厚徳+グループ現代著『エンデの遺言〜根元からお金を問うこと〜』NHK出版第15版, 2000年 pp.63-65

*どちらも具体的な数字は今とは違うところがあります

2023年

9月

03日

ちゃんと書きます(宣言)

私のMacBook Airを冷却パッド使用するひと。やめてくれませんか
私のMacBook Airを冷却パッド使用するひと。やめてくれませんか

 

 

ふー。

 

ちょっとだけ塞ぎ込みがちな今日この頃。

 

不定期に出不精人格が発動する、真っ只中。

 

9月になり、もう一年が終わる、そんな気分で軽く落ち込んでいます。

 

 

今ちょうどスケジュール的に空いちゃってるせいもあるのだけど、

面白そうなお仕事の話が2件あり、打ち合わせが迫る前に、

 

「ちゃんとお金シリーズの続き、書きます!」宣言!

 

別に求めてる人なんていないかもしれないけど、いいの。

 

文章をきちんと書き連ねることは自分のためにやっていることでもあるので、

今度の水曜日の朝までに書きます!

 

と、宣言したらちゃんと書くかな。

 

もう2回書き始めて挫折してるの。

どちらかというとその先の方が書きたいのだけど。

昔読んだ文献が手に入らなくて情報が曖昧になりそうで書けないってこともあったり。

 

学べば学ぶほど、シェアしたいこと山ほどあるんだけど、

どれをどの順で整理して、って脳内でやってるとすごく時間がかかってしまう。

 

でも誰か一人でもいいから、こんな情報も役に立ってるといいな。

 

なんというか、不確かなことが少しクリアになるだけでも安心できたりするかなって。

私がそうだったってだけで、押し付ける気はないのだけど:)

それに真偽のほどは常に疑ってほしいですが。

 

 

そうそう、ついでに、

昨年電力会社を再エネ100%の「みんな電力」に変えた件をシェアしたのですが、

どなたか検討された方いましたか?(過去ブログ

 

私、おかげで真冬も真夏もエアコン普通に使ってるのに、すごーく安く済んでます。

前年7500円だった冬の月が、約4000円(ハロゲンストーブからエアコンメインにしたせいもあると思うけど)。

4月以降上がるって聞かされてたけど、この7、8月は3800円とか3500円くらいでした(夏は毎年5000円くらい)。

 

電気代悩ましい方いたら、こちらもまた検討してみてくださいね(でもまた料金改定あるみたいです/回し者ではございません)。

 

 

話ずれちゃった。

 

またすぐ書きます!

 

 

2023年

8月

28日

荒井良二展

 

9/3(日)まで横須賀美術館で開催中の荒井良二さんの展覧会に行ってきました。

 

絵本として何度も色んな作品で拝見していたけれど、原画が素晴らしいという話はだいぶ昔に聞いていて、いつか機会があればと思っていました。

 

やっぱり、本当に素晴らしかった。

 

実はこの方、私が絵本に挑戦しようと思って2012年、13年と続けてボローニャ(イタリア)の絵本原画展(絵本作家を目指す人は必ず知っている有名なブック・フェア)に行ったとき、どちらかの年に一度お目にかかっていました。すごく「いい意味」でオーラを発してなくて(本当にいい意味です)、現地で知り合った他の日本人のイラストレーターの子と一緒に5分くらい立ち話させていただきました。いい意味というのはまるで同じ高さにいてくださるような、いわゆる怖さのない方で、すぐにでも友達になれそうな素敵な雰囲気の方でした。

 

私、一度絵本を出しておきながら白状すると、そんなに絵本じゃないのかな私の道はと思っているのですが(しかし未来のことは誰にもわからない!)、うーん、だから正直言うと、荒井良二さんの絵本も特別大きな感銘を受けたことはなかったし(というか、絵本そのものにはまり込んだことは子ども時代もなかったし、今もない・・・というのが、色んな絵本好きな人たちと自分を比較してわかってきたこと)、ただ原画にはずっと興味を持っていました。

 

そして原画展は本当に素晴らしかった!

 

どんなデータを探っても誰とも被らないし、どの時代っぽさもなく、荒井良二はただ荒井良二で。いつもだと色んな作家さんのお仕事を見ては羨望とか嫉妬とか恍惚とかあわよくば盗んでやろうみたいな様々な気持ちが湧き起こるのだけど、荒井良二さんの作品からはただただ幸せな波動を感じるだけ。なんというか、動物が気持ちよさそうに寝てるのを見て、「いいなぁ」って思う時の、幸福感のような感じ・・・。

 

展示そのものも、子どもの目線を気遣って低い位置に設置されていたり、写真撮影全てOKだったり(普通はない)、とにかくあのボローニャで5分の合間に受けた印象そのものの、みんなと「同じ高さ」の人、その展示風景。

 

でも目線で言えば、作品内での目線の使い方はとても巧みで、遠くと近く、鳥の目的な構図の捉え方とか、すごい広い景色を描いているのに確実に見て欲しいところに焦点が誘導される画力、ついつい時間をかけて探してしまう細やかなユーモア。本当に見ていて楽しくてたまらなかったです。この方に絵具と色彩を与えてくれて神様ありがとうって思っていました。

 

荒井良二さんはライブペイントもよくやるみたいで、それもいつか見てみたいけど、それよりも、一人で仕事場で作業している時に静かに後ろから仕事の様子をずーっと眺めてみたい。どうやって色を置くのかとか、手(手首)をどう動かしているのかとか、どれくらいのスピードで、どれくらい時間をかけるのだろうとか、気になること色々。でも一人で仕事してても口元はずっと微笑んでいそう。勝手にそんな感想まで持ちました。

 

あと一週間しかないけど(暑さに動けなくていたら私もギリギリになってた!)、行ける方、ぜひ行ってみてくださいね!この後他県数カ所で巡回もされるみたいです。

 

教えてくれて&ドライブして連れて行ってくれたお友達親子のお二人、本当にありがとう♡

 

子どもも大人も楽しめる展示
子どもも大人も楽しめる展示
見るとこ満載のディテール
見るとこ満載のディテール
この次のカットで赤ちゃんのどアップになる
この次のカットで赤ちゃんのどアップになる
唯一近似性があると思ったのは現代美術家の奈良美智さん(奈良さんも大好き)。奈良さんは青森、荒井さんは山形。何か共通点ある気がします
唯一近似性があると思ったのは現代美術家の奈良美智さん(奈良さんも大好き)。奈良さんは青森、荒井さんは山形。何か共通点ある気がします
入り口にて、Photo by こども(小さいから勝手に載せちゃったー)
入り口にて、Photo by こども(小さいから勝手に載せちゃったー)
↑夕方たまたま美術館の外で無料の映画上映(ムーミン)もありました。これまた良き!
↑夕方たまたま美術館の外で無料の映画上映(ムーミン)もありました。これまた良き!
待っている間不思議な光の影を見ました @横須賀美術館
待っている間不思議な光の影を見ました @横須賀美術館

2023年

8月

17日

おはようございます?

早朝散歩仲間
早朝散歩仲間

 

おはようございます。

 

今、朝の6時。

 

昨晩1時近くに本を読み終わり(司馬遼太郎の『関ヶ原』←渋い笑)すぐさま布団に入るも、柔らかめの寝具が合わなくてゴロゴロ・・・。やっと1、2時間寝るもまだ暗いうちに目が覚めてしまい、仕方がないから人生初の早朝散歩なるものに行ってきました。

 

人々がご来光を拝みに行く元旦にだって起きたことのない人間だったので、恥ずかしながら今日初めて、地元で朝日の昇る方向を知りました。なんとなく富士山側からと思っていたら(写真で見たことあるのは日の入り?)、湖を挟んだ反対側なのね。確かにそっちが東かー。

 

でも流石にこのまま起き続けたら日中もたなそうなので、今眠気待ちにこれを書いてます(今日ちょっと遠くまでドライブして帰ってきてから夕方打ち合わせ!)。

 

昨晩本読み切らなければよかった!

 

でも司馬遼太郎の『関ヶ原』(上中下巻)、とーーーーっても面白かったです!だいぶ前に読んだ『龍馬がゆく』もまたとても面白かったので、難しそうだったけど、こちらも。私日本史知らなすぎてコンプレックスで。

 

司馬遼太郎さんは、(父曰く)ものすごい資料を読み込んで書くので、小説とはいえ歴史書として読んでもいいくらい正確なのだとか。時空を超えた現地リポーターかと思うくらい、主人公の石田三成や徳川家康の秘密裏な会話や、些細な表情や内情もリアルに描写されていて、登場人物に立体感がありまるで映像を見るかのよう。無名の人物の細やかなエピソードもふんだんに盛り込まれていて、随所にドラマあり、だから歴史はこう動いたのかと素直に読み進むことができます。集中力はいるけど、私みたいに日本史苦手な方、お勧めしますよ。

 

今年の正月に父の書棚から抜き出し、返すタイミングに合わせて読み終えたけど、次にチラつくのは同作者の『坂の上の雲』全6巻・・・。明治維新の話?3冊でこんなに時間がかかったのに・・・。でも拝借だけしてまた脳みそが軽くなったら読み始めようかな。

 

あとそんなつもりなかったけど、読んでると現代の戦争や勢力争いみたいなものにも通ずるところが山ほどあって、三成と家康と周辺の大名たちを拡大すると、アメリカとロシアと中国とアラブ諸国がなるほど・・・、みたいな読み方もできたりしました。

 

あぁ・・・早く眠気に襲われて効率良く寝たいです。

 

6:40

 

 

2023年

8月

15日

森を歩けば

2020年8月3日の写真。今は亡きさんちゃんと
2020年8月3日の写真。今は亡きさんちゃんと

 

 

台風すごかったですね。ご無事でしたか?

 

 

私は今日から山中湖に帰ってきています。

 

 

その前に、台風に先んじて猫と一緒に両親の家へ。猫は預け(私なりの親孝行のつもり)、私だけ土曜日までこちらでゆっくりする予定です。今回は長めに来られて嬉しいけど、天気がもっとよくなるといいなぁ!

 

 

山中湖の家は小さな山小屋みたいなものなので、Wi-Fiもなく、強制的にデジタルデトックス状態に(使いたい時はスマホでテザリングする)。テレビももうほとんど見ないので、滞在中は友人のカフェを手伝うのと、散歩と、読書と、あと持ってきた仕事。壊れちゃってからカメラがないのが残念、ここだと写真撮りたくなるから!

 

 

***

 

 

今日も不安定な空模様の下、傘を片手に散歩に出かけたけど、台風って自然にとっては必要な新陳代謝のように見えて、よくできているなぁとつくづく思う。

 

風圧に耐えらえなかった古枝や葉っぱは落とされて、森はほんの少し、散髪されたみたいに小さくなる。そう、台風って、天然の散髪屋さん!(だからああいう芝刈り機みたいな形をしてる?)台風が過ぎた後の太陽に照らされた森って、ダメージを受けたというよりは、キラキラと輝いてさっぱり気持ちよさそう。地面に落ちた古枝や葉は、微生物に分解されてまた別の何かに生まれ変わっていくのですしね。すごい、すごいです、自然というものは。

 

 

当たり前に聞くようになった世界中の大災害に痛みを覚える一方で、森を歩けばそんなことも考えたりしています・・・。

 

 

 

2023年

8月

03日

マティス展

ワンフロアだけ撮影OKでした
ワンフロアだけ撮影OKでした

 

上野の東京都美術館で開催中のマティス展(4/27-8/20) に行ってきました。

 

もともとマティスは好き・・・だと思ってたけど、観てきた作品数はそんなに多くなく、自分の中でマティス・データが足りないと思っていました。

 

ピカソの双璧の天才とも言われるし、20歳でアートに進んだという点でも勝手に親近感を感じるアーティスト(元々法律を勉強していたらしい)。70代という晩年になって体の不自由が原因で切り紙絵を始め、あれだけ新しい作風にたどり着いたのだから、この方の経歴を追うことは私にとって夢膨らむことでもあったのです。

 

 

今回は点数的にはたっぷり観れたけど、でもやっぱり全然わからないというのが正直なところ。特に、油絵で彼がやろうとしていたこと・・・なんというか、感想を持ちにくい、という感想・・・。なのに、好きなことは好き。他のアーティストだと、何が好き、どこに感動した、とかもっと表現できるんだけど、マティスはなんで好きなのかわからない。少し、foolな感じもしちゃったのです、この方の作品を真面目に鑑賞することが。書かれていた解説もピンとこないし(本当にわかって書いてるのかな?とか)、作品から伝わってくる印象と、本人が言ったとされる言葉ですら一致する感じがしない。不思議なんだけど、なんというか、つかめない雲のような・・・。それでも曇って、いつまででも見ていたいくらい魅力的ですよね?

 

・・・そんな感じでたどり着いた最後のフロアは、色彩豊かな晩年の切り絵作品が集まり、ここに来てようやく私は心からの興奮を感じていました。画集で見ていただけのJAZZのシリーズがずらり、素晴らしい彩りで壁面を飾り、不要なものが除かれてついにエッセンスだけに辿り着いた、とでも言うのか・・・。

 

***

 

わからないながらに一つだけ言えるのは、この近代アートと呼ばれる時代(19世紀後半〜20世紀)のアーティスト達のおかげで、私のような人間でもアーティストだなんて言っても許されるようになったと思うのです。

 

「子どもでも描ける」と揶揄される一見下手なピカソやマティスなどのアートは、実際にやってみると全く真似できないほどに熟達したものであるし(一度でも画材に触れてみればわかります)、何世紀にも渡って蓄積された、ありとあらゆる、「芸術は〜でなければならない」という既成概念をこの時代ほど激しく壊していった時代は後にも先にもなく、なんてエネルギッシュで創造的で解放された時代なんだろうと、キラキラ眩しく見えてしまうのです。(その後現在に続く現代アート(contemporary art)という時代は翻ってなぜか苦手です)。

 

マティスの自由さって、例えば、「この線もっと整えてもいいのに」っていう線を整えない、っていう自由さ。それって、自由。だって、マティスだったらできるんだもの。過去の「きれいな」絵を描いてきたアーティストだったら、絶対に整えてた(例えば、ピカソだったら整える。そしてピカソの線はとても完璧で美しい)。だけどマティスは整えない。それをそのままで「良し」とする。それって、「見せつけてやろう」って自己顕示欲からの圧倒的自由。それを「しない」ことの自由。これがどれだけ画期的なことかわかりますか?普通は巧くなればなるほどに、自分でも知らぬ間に、自らを囚えてしまうものなのに。「巧さ」はわかりやすく、権威にもなるのに。

 

 

そうそう、だから、わからないなりの私に降りてきた言葉は、「解放」。

 

晩年になればなるほどに、マティスは解放されて、自由になる。

 

最晩年、集大成と謳ったヴァンス礼拝堂の壁画は正直言って、究極の「下手絵」。

 

そこに辿り着いたマティスは、良い人生を歩んだんだと思う。

 

 

 

2023年

8月

01日

today

なつめろ Natsumelo 2023 ©︎ Hanae Tanazawa
なつめろ Natsumelo 2023 ©︎ Hanae Tanazawa

2023年

7月

26日

Holiday magic

 

 

週末にかけて軽井沢でゆっくりしてきました。

 

お宿は毎度恒例のKoya Backpackers。

今回で三度目。コロナ渦中、潰れないで〜と念じに念じていた私の大好きな定宿。

インスタで繋がっているオーナーには毎年「行く!」と宣言しながら行けなくて、行く行く詐欺になりかけていたので、今年ついに実行しました。5年ぶりくらい?

九州の友達が休暇で関東に来たいって言うから、じゃあ軽井沢行こうとなりました。

 

Koya Backpackersは大正時代の建物を上手にリノベした素泊まりのゲストハウス。一室以外は相部屋(ドミトリー)なので苦手な人は苦手かもだけど、1泊3,800円~という安価ながら素敵な古民家の別荘気分を味わえる隠れた名宿。オーナーの金井さんも世界を旅したバックパッカーだから経験豊富で話しやすく、かなり久しぶりというのに昨日会ったような佇まいで出迎えてくれて、私も帰ってきた〜という感覚になりました。

 

お買い物に歩き回った1日目の夜は焚き火をしてくれると言うので、居合わせた数人とただ火を囲みながら、お酒片手に静かにおしゃべり。名前も顔も(暗くて)よくわからないけど、なんか絶妙に話がリンクしてたりして、翌朝にはまた東京で会いましょうと連絡先を交換してお別れしました。

 

 

そうそう、今回の軽井沢、今までと違って新幹線を使ったり(今までは高速バス)、軽井沢でレンタカーを借りたり(人生初)、お宿代が浮く分、移動にお金を使いました。それが想像以上に快適で有意義だったので、今後はそちらも定番になりそう・・・。

 

と言うわけで、2日目はせっかく車があるからと遠くの温泉まで足を伸ばすことに。私にとっては山中湖を運転する感覚にすごい近かったので、レンタカー初心者としてはやりやすいデビューでした。運転好きなんだよね〜(こう見えてうまいと言われることもあるのですふふ)。しかし方向音痴で道覚えるのが苦手だから、人が隣に座って自分が運転がベスト。と言うわけで終始ハンドルは譲らず(笑)、道中もなるべくエアコンを使わず開けた窓からマイナスイオンを浴びるという爽やかスタイル。大学以来の友人ミカとは終始笑いも話題も尽きることなく、ほんと楽しませてくれました。ありがとう!

 

 

せっかくだからあっちもこっちもって欲張りな気持ちになっちゃったけど、宿に帰り静かな庭で鳥の鳴き声を聞いてると、やっぱりこれが一番豊かな時間。

 

この日の夜はミカと私、オーナーだけが居間でおしゃべりする静かな夕飯だったけど、その後男子学生が一人加わり(ミカがウィスキーを大きめのボトルで買っていたのがとても良かった!それで誘う作戦が二晩ともうまくハマりまして)、もう一人はやや内向的なタイプの男の子で居間の隅で読書してたけど、正直みんなが彼に興味津々で(なにしろ「ヘブライ語」の本とか持ってるんだもん!)、やや無理やり引きこんだら案の定相当面白かったりして、結果やっぱり盛り上がった一晩となりました。最初の子はラグビーで怪我をして今は法律を勉強している帰国子女大学生。もう一人はモデルみたいな風貌だけど大学を追い出され株やら仮想通貨でやらかし口座封鎖されて家にも帰れずバイトを転々とする人生ドン底中(しかし自信ありげ)のどちらも22歳。お互いに「考え方真逆ですね」と言いながらも遠慮することなく自分の考えをシェアするし、話題もAIとかロボットとか投資とか政治とか、徐々に哲学的でディープな方向へ。こんなに若い子達とこんな風に濃厚な時間を過ごせるなんて、これがKoya Backpackersの6畳間マジック。

 

翌朝になってようやくそれぞれの名前を知った時にはもうお別れ。「弁護士必要になったら連絡するね」「年一くらいで検索する(生存確認の意味)」とか言いながら、なんとなく今回は名刺を渡すことも、記念写真もしないでお別れしました。この一期一会は旅の思い出として、現実世界まで引っ張らない方が良いような気がして、多分実際には探せないし会えないだろうけど、それで良しとさよならしました。でも記録までに、名前は確か、オゾネツヨシくんとトウタクミくん。もしまた会えたら、素敵だね。

 

Koya Backpackersの涼しくも濃厚なマジックは、快適な新幹線に揺られてウトウトし、都会の灼熱風景に目を覚ましたら、なんだか夢だったのかなと思うように少しずつ溶けていったのでした。

 

 

2023年

7月

16日

出木杉くんは、やっぱり出来過ぎだった(お金シリーズ#011)

Happy Bird-day 2013 ©︎ Hanae Tanazawa
Happy Bird-day 2013 ©︎ Hanae Tanazawa

 

 

お金シリーズ、いよいよ本題です。

 

 

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#010

 

 

***

 

 

#008、#009から継続中の舞台設定。

公園でのび太たちがお金稼ぎごっこ中。

 

出木杉くん登場。

 

出木杉くん:「やぁ、君たち楽しそうな遊びをしているね。僕も仲間に入れてくれないかな」(と勝手に入ってくる)

「なになに、のび太くんったら 1000円もお金を稼いだのか。大金じゃないか!僕が銀行役になってそのお金預かってあげるよ」

 

のび太:「君がいきなり銀行役だって?そんなのできるもんか!」

 

出木杉くん:「のび太くんったら、僕を信用してないのかい?」

 

のび太:「いやぁ・・・(よく考えて)出木杉くんほど信用できる人はいないけど・・・」

 

出木杉くん:「だったらいいじゃないか」

 

のび太:「・・・まぁそうだけど・・・預けるって、一体どうしたらいいのさ」

 

出木杉くん:「君が僕にその1000円を渡して、僕は紙に「のび太くんの預金1,000円」て書いて渡すのさ(と、サラサラ紙に書いて渡す)」

 

のび太:「それだけ?」

 

出木杉くん:「あぁ、それだけ。使いたくなったらいつでもまた僕のところに来ればいい」

 

安心したのび太は出木杉くんにお金を全て預け、そのまま遊びに行ってしまいました。

 

そこへしずかちゃんが近づいてきました。

「(困った顔で)まぁ出木杉さん、銀行になったの?私文房具を買うのにお金が足りなくて、少し貸してくれないかしら?」

 

出木杉くん:「あぁ、いいよ。しずかちゃんならなんの問題もないから、900円までなら貸すことができるよ」

 

そう言って出木杉くんは、のび太が預けた1000円のうちから10%の100円だけを手元に残し、900円をしずかちゃんに貸しました。お金を渡す際、「しずかちゃんの借金900円」と書いた紙を、一枚は自分のポケットに、一枚はしずかちゃんに書いて渡しました。しずかちゃんは900円と紙を嬉しそうに受け取ると、「必ずすぐ返すわ」と言って去って行きました。

 

次に来たのはその様子を見ていた3才のハナエです。よくわかっていないのですが、面白そうだったのでお金を借りるごっこをしてみました。

 

出木杉くんはハナエに810円までなら貸せると言って、「ハナエの借金810円」と書いた紙を、一枚は自分のポケットに、一枚はハナエに渡しました。ハナエはすぐに使う用事はなかったので、数字が書かれた紙だけを喜んで受け取って去って行きました。出木杉くんは少し不安だったので、3才のハナエに「ちゃんと810円返すんだよ。返さなかったら君の810円分のおもちゃをもらうからね」と念押ししました。

 

・・・

 

そんな感じで、出木杉くんは来る子ども来る子どもに、前に貸した子の借金から10%だけは手元に残るように貸し続け、最後に貸せる金額が5円になったときに全ての取引を終わらせました。ハナエの次の子は729円、その次の子は656円、次は590円、531円、478円・・・というように。(最終的にはずっと5円、5円、5円、になってしまうので取引をやめました。)

 

と言うわけで、この日、のび太くんの1000円から出木杉くんが取引した公園の子どもたちは全部で51人、出木杉くんのポケットに溜まった紙の、借金で生み出されたお金の総額は8871円分にもなっていました。

 

夕方、のび太がふらふらと戻ってきて、

「出木杉くん、僕の1000円返してくれないかなぁ」

と言ったので、出木杉くんは、

「あ、今日の窓口業務は終わりました!」

と言って、公園を足速に去って行きましたとさ。

 

 

チャンチャン♪

 

 

***

 

 

このような数字によるお金の増え方のことを、「信用創造」といいます。

 

信用創造は、言葉だけうっすら知っている人もいるかと思うのですが、調べてみてみいまいちその成り立ちがはっきりしません。でも、#010でもお伝えした通り、私たちは資産の多くを数字という概念で扱っているので、普段引き出されることはないだろうというお金を銀行が運用するというのは自然発生的にも意図的にも考え得ることです。

 

信用創造の信用って、誰が誰を信用するんだろう?と改めて疑問に思ったのですが、多分双方に信用しないと成り立たないことなのだと思われます。

 

以前はお金が物質的価値である金に紐付いていたので、それが信用となっていたのですが、日本は1931年に金本位制度を廃止しています(アメリカよりも40年も早い!#001)。

 

のび太くんは、出木杉くんを信用してお金を預けました。そして、出木杉くんは、しずかちゃんや他の子どもたちが返してくれると信用してお金を貸しました。

 

今回はわかりやすいように、10%を手元に残すという設定にしましたが、銀行が預かり金を一部手元に残すこと(正確には日銀に預けること)を準備預金制度と言います。実際の預金準備率は0.8%*とのことですから、実際にはもっと無限大にお金を増幅させることができることになります。

 

 

そして何よりも重要なポイントとなるのは、出木杉くんが紙(=しずかちゃんの口座/通帳)に「借金900円」と書くのと同時に、しずかちゃんは900円という「資産」を得たということです。つまり、額面上で「借金」が生まれるのと同時に、同額の「お金」がこの世に生み出された。その後に続くハナエは、これまた自分が受け取った810円を、借金とはいえ自分のものと思い込み、しずかちゃんの借金から生まれたものだとは感じません。これが現代の借金からお金が生まれる仕組みなのです。

 

数字を書くだけでお金が生まれることを、以前は「万年筆マネー」(万年筆で小切手に数字を書いたことから)とか、最近では「キーストロークマネー」(パソコンのキーボード入力でお金を生むことから)とか言うそうです。それを担保する金などの裏付けはもうありませんので、私たちはただ信用という、これまた概念のために命懸けとも言えるやりとりをしているのです。

 

これだけでも十分おかしな仕組みだけど、この借金に上乗せして金利がくっついてくるので、それがまた問題をさらに大きく、逃れがたいものにしています。

 

 

次回はそのことについて。

 

 

***

 

 

後記:

 

これを書くにあたり、出木杉くんの性格などについても調べてみたのですが、彼は頭がいいだけでなく、その名の通り非の打ち所がない素晴らしい人格者なので、実際にはこんなことしそうもないですね。出木杉くん、なんかごめん。笑

 

 

 

*参考:https://www.ceicdata.com/ja/indicator/japan/reserve-requirement-ratio#:~:text=日本の預金準備率,値で平均は%200.7%20%25%E3%80%82

 

 

参考図書:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, pp. 44-49

*数年前の書籍のため、具体的な数字は今とは違うところがあります

 

2023年

7月

09日

猫の手を借りた日

 

先週末で約3ヶ月(と思っていたら2ヶ月半だった)のサラリーマン生活、無事に終わりました。

 

出勤最終日前日、上司の車に携帯を置き忘れ、その日の夜9時くらいにPCメールをもらって発覚。翌朝受け取ることになり、自分って全然スマホ依存じゃないんだな〜と誇らしくも(代わりにPC依存だけど)、翌朝のアラームだけは困ったことに。でももう体が慣れてたのと、緊張感で起きるだろうなと思いそのまま寝ることにしました。今では私の猫も早く起きて鳴くようになっていたので、「明日6時半に起こしてね」と一方的に念押しして眠りました。

 

翌朝は5時半くらいからなんとなく目覚めては眠ったりしてたのだけど、ピッタリ6時半、猫がカタッと音を立てて(トイレから出てきて?)、私に向かって「ニャー」!作り話じゃなくて、本当に1分も違わず、きっかり6時半にちゃんと起こしてくれました・・・優秀か!笑

 

こちらの猫さん、実は最近何かご不満で、3週間くらい前に2ヶ所に粗相をし、その翌週末は同じ2ヶ所にマーキング(これがすごい臭い!)。どちらも初めてで、1回目は床に大きなシミができてしまったので頭に来て、本人を現場に連れてシミを指差し「これミーちゃんがやったの!?!」とガチ説教。本人気まずそうなご様子。笑 4回目(マーキング)の時は出勤前だったので「もーミーちゃん!なんで*%$&#!!」とグチグチ仁王立ちで怒ったら(笑)上目使いから首を垂れてしばらくシュンとしてたので、「あれ伝わってる?」となんか哀れな(ちょっと面白い)気持ちになったりしました。

 

ミーの粗相は明らかに私へのメッセージで、最初は私がいないことへの不満かなと思ったけど、よく考えたらどれも私がいる週末やってる・・・え、もしかして私が「いる」ことへの不満?!この数ヶ月で、家に旦那がいて鬱陶しい妻になってる!?!

 

とまぁ、ミーの異常行動は相変わらず警戒してるんだけど、6時半ちょうどに起こしてくれたことで私の中では帳消しとなりました。ありがとよー!

 

 

かつてなくイケメンに写ったひと。あなたそのキャラじゃないでしょ
かつてなくイケメンに写ったひと。あなたそのキャラじゃないでしょ

 

***

 

ミーが起こしてくれたこともあり、最終日も遅刻することなく無事に終了することができました。

 

何人もの方にまた戻ってきて欲しいと熱烈にお誘いいただいたのですが、私はまだ自立の道を歩み始めたばかり。フルタイムをお断りし、週1だけのアート・ティーチャーのオファーもお断りし、今後は期間限定(プロジェクトベース)のお仕事のみお受けすることにしました。

 

つくづく感じたことだけど、何かが得意なことと、それが教えられるのは全く別のこと。私にとってはアートというものが重要すぎて、生半可に教えるくらいなら全くやりたくないのです。それに、アートってあまり言われて学ぶことじゃなくて、純粋に没頭したり、自ら観察したり、工夫してやってみること。せいぜいテクニックは教えられても、あまりテクニックが先になると縮こまった表現になってしまうので私はどちらかというと好きという気持ちを膨らますことが先かなと思っています。好きだから、もっと知りたい、上手くなりたい。テクニック以上に大事なのは自分主体になること、自己で肯定できること。子どもは元々それができるのに、教わることでどんどん何をしたらいいかわからなくなる。声かけ一つも本当に迷ってしまうのです。

 

でも何人かのスタッフのお子さんを以前教えていたことがあり、ミス・ハナエが教えてくれていた時の作品は取っといて(飾って)あると複数人から聞いた時、当時は相当迷いながらやっていたけど、あれはあれでよかったのかなって少し答えをもらえた気持ちになりました。

 

 

私はまだ自分が学びたい気持ちの方が強くて、作っている時間が幸せすぎて、今はそこに100%時間を空けておきたいと思います。自分の作品を必要としてくれている人がいるときに、OKを出せる状況でいたいから。次の制作物も打ち合わせの段階からワクワクしすぎて、やっぱりこれが私の仕事!って感じてしまいました。

 

学校では子どもたちが可愛いかったし、スタッフも皆さん素晴らしかったし、経済的にも助かったし、思った以上に体質・生活習慣改善に繋がったので、色々とありがたかったです。

 

改めて様々なご縁で繋がってくださっている皆さま、そして手がかかりつつも、サポートもしてくれている我が愛すべき内縁の妻(猫♂)に感謝申し上げます。笑

 

 

2023年

7月

01日

カメラ屋と銀行は似て非なるもの(お金シリーズ#010)

Underground (仮)2023 ©︎ Hanae Tanazawa
Underground (仮)2023 ©︎ Hanae Tanazawa

 

 

お金シリーズです。

 

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今回で本題に入ろうと思ったのですが、もう一つだけ基礎情報。 

 

大人でしたら大体想像つくことだと思うので、今回はサラッと書きます。

 

 

***

 

 

現在のお金の多くは「紙幣」ではなく、「数字」で存在しています。

 

 

どの程度が「紙幣」でどの程度が「数字」かというと、前者が約121兆円、後者が約1591兆円*なので、比率換算すると1:13くらいです。(←7/2訂正:すごい数字ミスしてました笑)

 

*銀行発行券(日本中にある紙幣の総額 /2023年6月20日現在):120,974,166,812,000円

マネーストックM3(日本人が現金・預貯金などで持っていると認識しているものの総額 / 2023年5月):1591.2兆円

 

 

そんなことして良いのかって感じですが、ほとんどの人にとって、稼いだお金を全て現金で持つ必要は基本的にないので、コンピューターの発展と誰かの悪知恵がタッグを組み(?)、いつしか自然発生的にそうなっていったのだと勝手に想像しています(もしかしたらもっと前かな?)。

 

 

例えるなら、スマホやデジカメで写真を撮っても、現像して持ちたい写真はほんの一部というのに似ています。ほとんどの画像はデジタルデータだとしても、私たちは「(画像を)持っている」という認識でいますし、データだけでやり取りすることもよくあります。逆に現物が欲しければ、カメラ屋さんに行って必要なものだけ現像して所有することができます。そんな感じで、多くの場合、私たちは数字だったもの(預金)の一部をATMで現金として現物化して使っています。

 

 

ただ、カメラ屋と銀行の違いは、カメラ屋さんはデータを元に印刷することができるので、時間はかかれど現物は必要なだけ手に入れられますが、銀行の場合、お札を刷っているのは日銀ですらなく、財務省の計画による国立印刷局なので、銀行が独自の判断で追加増刷できるものではありません。

 

 

経営が安定している時は大丈夫でも、一度銀行が信用不信に陥ると、「もうこの銀行には預けておけない」と多くの人が預金を一斉に引き出すことがあります(=「取り付け騒ぎ」と言います)。そうなると実際にそんなに大量の現金は存在しないので、その銀行は経営破綻に陥ります。今年の3月にアメリカのシリコンバレー銀行でまさにこのことが起き、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行も相次いで破綻、スイスのクレディ・スイスも似たような危機に陥りました(破綻→買収)。

  

 

***

 

 

ちょっと話がずれるけど、これ(↑)、お金とは関係なく考えていたことがあるのですが、データとして持っているものは本当に存在して、持っているということになるのでしょうか?私は自分の仕事の成果を結構データとして保有しているので、こういうことを考えたりします。

 

例えば全世界が一度隕石とかで滅亡して、壊れたPCやスマホだけが大量に未来人に発掘された場合、未来人は私たちのテクノロジーを復旧させない限り、その中に含まれる数々のデータを見ることができません。(私たちがピラミッドやミイラの作り方を未だにわからないのはこれに似てる?)そうすると未来人たちは、壊れたPCやスマホを単なる石板のようにしか見なさないかもしれません。

 

・・・とまぁ、わざわざ全世界を滅亡させないまでも、数字(お金)はやっぱり単なる概念でしかないのです。

 

 

***

 

 

余談ですが、実は今、(特にアメリカの)経済状況がかなりまずいんじゃないかと思っていて、色々起こる予感がしているので、このお金シリーズももう少しペースアップして書いていけたらと思っています!が、すっごいどうでもいいことだけど、このシリーズに合わせる挿絵を全てコラージュ作品で統一したいという個人的な野望により、私の作品ストックがないために書き急げない状況があったりします(苦笑)。アメリカの経済破綻が先か、私の作品破綻が先か(←どうでもいい)。ちなみに合わせて作っているというより、あるもの、できたものを合わせにいってる感じです。

 

まぁ私なんかの情報を待つよりは、ご自身できちんと調べて対策されることを本当に本当にお勧めします!なんとなく、何かが弾ける感じが・・・

 

 

みなさーん、勉強しましょう〜!

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

*追記:大西つねき氏著書pp.42-43記載の銀行発行券(日本中にある紙幣の総額)とマネーストックM3(日本人が現金・預貯金などで持っていると認識しているものの総額)の検索方法により得た最新の数字です。

参照:財務省HP

発行銀行券 (2023年6月20日現在) 120,974,166,812,000円

マネーストックM3 (2023年5月) わかりにくいけど、M3の一番下1591.2兆円がそれと思われます

 

 

 

参考図書:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, pp. 14-15, 42-44

*数年前の書籍のため、具体的な数字は今とは違うところがあります

2023年

6月

25日

それは単に夫婦間の問題だった(お金シリーズ#009)

Rock Daddy and Opera Mommy, They Are Quite Alike 2023 ©︎ Hanae Tanazawa
Rock Daddy and Opera Mommy, They Are Quite Alike 2023 ©︎ Hanae Tanazawa

 

だいぶご無沙汰になってしまい、私自身も読み返したお金シリーズです!

 

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#008から継続中の舞台設定。(↑←リンク数間違ってました!#008追加しました。6/28)

 

お金稼ぎごっこ中。とある日のリーダー・スネ夫の演説。聞き手はしずかちゃん、のび太(3才のハナエはお昼寝中)。

 

スネ夫:「え〜みなさん、一国の代表としてお伝えしますが、残念ながらあなたたちには一人につき1000万円の借金があります。つきましては、せっせと働き、税金を納めることでしっかり返すように。」

 

のび太:「え〜!!いっせんまんえん!!!ぼくったら、いつの間にそんなにお金を借りていたんだろう!まだ学校も出ていないのに!どうしよう、どうしよう、しずかちゃん、え〜ん、ドラえも〜ん(天を見上げて噴水状に号泣)」

 

少し間を開けて、しずかちゃん:

「・・・何を寝ぼけたこと言ってんのよ、スネ夫。茶番もいいところだわ(注:見ていたのが昔すぎてしずかちゃんの口調を思い出せません。)「あんた」が抱えてる借金は「私たち」から借りたお金だってこと忘れたの?「私たち」は「あんた」に借金があるどころか、「あんた」に「私たち」のお金を使わせてるのよ、勘違いもほどほどになさい。」

 

スネ夫:(額をポリポリ、苦笑いを浮かべながら)

「い、いや〜、そ、そうだったかなぁ。じゃじゃ、ジャイア〜ン!」(逃げる)

(逃げながら:ちぇ・・・みんながのび太みたいだったらよかったのに・・・)

 

・・・そういうわけで、その肩に1円の重みも背負っていないハナエは、今日も安心してすやすやとお昼寝を続けたのでした。

 

 

チャンチャン♪

 

  

***

 

 

2023年3月末で「国の借金」は1270兆円と過去最大を記録したと発表されています。

 

この表現にはカラクリがあって、実は「の借金」は、しずかちゃんやのび太くんを代表とする「国民」の借金ではなく、スネ夫=「政府」の借金なのです。本来は、

 

国民+政府=日本

 

なのに、あたかも国民が借金を抱えているように報道されています。

 

国民政府は、私流で例えるなら資産家(貯金持ち)のお母さんと、実業家のお父さんです。お父さん(スネ夫)は国の経営という事業を継続するために、お母さん(しずかちゃん)からたくさんお金を借りています。でも結局はお父さんとお母さんは日本という一つの家族なので、他国(第三者)から膨大にお金を借りているというわけではありません。

 

お母さんはいわゆる機関投資家と言われるものです。機関投資家とは、一般国民がお金を預けている「銀行、生命保険会社、損害保険会社、年金運用基金など」(大西, p.40)の金融機関を指し、つまり、何らかの口座を持ってお金を預けているあなたはこの機関投資家を構成する一人になります。

 

「日本の政府の国債の90%以上は日本の機関投資家が持ってい」るので(大西, p.40)、わかりやすくいうと、お父さんが借りて使っている100万円のうち90万円以上は身内のお金だということです。

 

知っていても知らなくても、私たちが貯金として預けているお金は、そのまま銀行で眠っているわけではありません。いろんな形で運用することで銀行などは商売しています。なので自分たちの預けている銀行が機関投資家として日本国債を買い、=間接的に私たちは政府にお金を貸しているのです。

 

以前にも触れた通り、日本は対外純資産世界一の超安定財政国家です。また日本円という自国の通貨発行権を持つ国なので、ユーロ圏などとは違い、いざとなれば自国の通貨を発行したりと適宜コントロールすることができます。

 

 

対してアメリカの借金は、他国から借りているものが大きく、日本の借金とはわけが違います。アメリカでは今年1月に債務上限に達したため、米ドルのデフォルトもあるかと騒がれていました。これは本当にお金がないので上限を引き上げなければ破産という状況で、あちらの借金は本当に頭を抱える性質のものだと思われます(でも毎年のように引き上げされるので、選挙を見据えた民主党と共産党のプロレスみたいなものらしいです)。

参考:モハPチャンネル(←すごいわかりやすくてたまにチェックしています)

日本の対外純資産に関してこちら

 

 

この「借金」という言葉が今の貨幣システムを理解する上ですっごい肝になってくるのですが、ここから先、私ごときにこのことをうまく説明していくことができるのかわかりません・・・。でも実は、次からが本編です。

 

 

とりあえず、日本政府の意味不明な脅し文句で眠れぬ夜を過ごした皆さん。これから税負担などで大変なことはあるにはあるでしょうが、あと、個人的な借金はちゃんと返さないといけませんが、それ以外で今何かを背負っていると感じるのは気のせいなので、今日からは3才のハナエのようにスヤスヤと穏やかな心で眠ってくださいね。

 

 

 

参考図書:大西つねき著『私が総理大臣ならこうする』白順社, 2019 第2刷, pp. 14-15, 40-41

*数年前の書籍のため、具体的な数字は今とは違うところがあります

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