2023年

12月

18日

連想ゲーム、の続き

ガーナの街並み
ガーナの街並み

 

この前のブログを書いたのち、書きたいことが色々出てきてしまって、久々にガーナにいたときのアルバムを引っ張り出してきました。2002-2003年の思い出。懐かしい。

 

 

***

 

 

あのね、少し真面目な話になるんだけどね。

ゴミの話の続き。

 

 

1,2年前にこのニュース↓を知って、とてもとてもショックだったのです。

3分の短い映像があるからぜひ見てみてください↓

 

ファストファッションの末路……不必要になった衣服の埋立地(BBC Japan)

 

 

映像でも分かる通り、私たちが良かれと思ってリサイクルに出した古着が、最終的にはガーナのような国に行きついて埋め立てられ、土地や海や空気を汚してるかもしれないのです。

 

 

ここに出てくる海岸がどこかはわからなくとも、自分がその延長線上のどこかにいたことは確かだし、それがこんな風に汚染されていると知ってショックで仕方ありませんでした。

 

ほんとかなぁと思いながらも、着られない服は繊維としてリサイクルされるという文言を信じて私も出したりしてたんだけど、安い服を作ってる企業がそんな手間なことするわけないよね。面倒なことはいつだってこういう貧しい人や土地に押し付けられるのです。

 

 

 

 

ガーナ人は一般的にフレンドリーで礼儀正しい国民性。写真を見ると分かるけど、オリジナルの布を買ってきて自分の体に合うように仕立ててもらったり、既製品もきれいに着こなしたり。スタイルがいいからまたかっこいいのですわ。

 

当時はそこまで古着が出回っていることもなかったけど、今は海外からの安価な古着が溢れ、土地のオリジナルの服飾産業は廃業に追い込まれ失われつつあると聞きます(それは日本でも同じ)。私はアフリカの色彩豊かな布や、それで服を仕立てる職人さんのお仕事を間近で見て、自分も作ってほしいと思ってデザインしたりして、それが絵を描くきっかけになったりもしました。

 

かつて奴隷貿易でも大変な被害にあったこの国は、今はまた違う形で他国から虐げを受けていると言えなくもありません。ファストファッションを全く買うなとは言わないけど、次に服を買うときや手放す時、ちょっとこんな国のことも思い出してみてくださいね。

 

 

 

 ↓おまけ

2023年

7月

26日

Holiday magic

 

 

週末にかけて軽井沢でゆっくりしてきました。

 

お宿は毎度恒例のKoya Backpackers。

今回で三度目。コロナ渦中、潰れないで〜と念じに念じていた私の大好きな定宿。

インスタで繋がっているオーナーには毎年「行く!」と宣言しながら行けなくて、行く行く詐欺になりかけていたので、今年ついに実行しました。5年ぶりくらい?

九州の友達が休暇で関東に来たいって言うから、じゃあ軽井沢行こうとなりました。

 

Koya Backpackersは大正時代の建物を上手にリノベした素泊まりのゲストハウス。一室以外は相部屋(ドミトリー)なので苦手な人は苦手かもだけど、1泊3,800円~という安価ながら素敵な古民家の別荘気分を味わえる隠れた名宿。オーナーの金井さんも世界を旅したバックパッカーだから経験豊富で話しやすく、かなり久しぶりというのに昨日会ったような佇まいで出迎えてくれて、私も帰ってきた〜という感覚になりました。

 

お買い物に歩き回った1日目の夜は焚き火をしてくれると言うので、居合わせた数人とただ火を囲みながら、お酒片手に静かにおしゃべり。名前も顔も(暗くて)よくわからないけど、なんか絶妙に話がリンクしてたりして、翌朝にはまた東京で会いましょうと連絡先を交換してお別れしました。

 

 

そうそう、今回の軽井沢、今までと違って新幹線を使ったり(今までは高速バス)、軽井沢でレンタカーを借りたり(人生初)、お宿代が浮く分、移動にお金を使いました。それが想像以上に快適で有意義だったので、今後はそちらも定番になりそう・・・。

 

と言うわけで、2日目はせっかく車があるからと遠くの温泉まで足を伸ばすことに。私にとっては山中湖を運転する感覚にすごい近かったので、レンタカー初心者としてはやりやすいデビューでした。運転好きなんだよね〜(こう見えてうまいと言われることもあるのですふふ)。しかし方向音痴で道覚えるのが苦手だから、人が隣に座って自分が運転がベスト。と言うわけで終始ハンドルは譲らず(笑)、道中もなるべくエアコンを使わず開けた窓からマイナスイオンを浴びるという爽やかスタイル。大学以来の友人ミカとは終始笑いも話題も尽きることなく、ほんと楽しませてくれました。ありがとう!

 

 

せっかくだからあっちもこっちもって欲張りな気持ちになっちゃったけど、宿に帰り静かな庭で鳥の鳴き声を聞いてると、やっぱりこれが一番豊かな時間。

 

この日の夜はミカと私、オーナーだけが居間でおしゃべりする静かな夕飯だったけど、その後男子学生が一人加わり(ミカがウィスキーを大きめのボトルで買っていたのがとても良かった!それで誘う作戦が二晩ともうまくハマりまして)、もう一人はやや内向的なタイプの男の子で居間の隅で読書してたけど、正直みんなが彼に興味津々で(なにしろ「ヘブライ語」の本とか持ってるんだもん!)、やや無理やり引きこんだら案の定相当面白かったりして、結果やっぱり盛り上がった一晩となりました。最初の子はラグビーで怪我をして今は法律を勉強している帰国子女大学生。もう一人はモデルみたいな風貌だけど大学を追い出され株やら仮想通貨でやらかし口座封鎖されて家にも帰れずバイトを転々とする人生ドン底中(しかし自信ありげ)のどちらも22歳。お互いに「考え方真逆ですね」と言いながらも遠慮することなく自分の考えをシェアするし、話題もAIとかロボットとか投資とか政治とか、徐々に哲学的でディープな方向へ。こんなに若い子達とこんな風に濃厚な時間を過ごせるなんて、これがKoya Backpackersの6畳間マジック。

 

翌朝になってようやくそれぞれの名前を知った時にはもうお別れ。「弁護士必要になったら連絡するね」「年一くらいで検索する(生存確認の意味)」とか言いながら、なんとなく今回は名刺を渡すことも、記念写真もしないでお別れしました。この一期一会は旅の思い出として、現実世界まで引っ張らない方が良いような気がして、多分実際には探せないし会えないだろうけど、それで良しとさよならしました。でも記録までに、名前は確か、オゾネツヨシくんとトウタクミくん。もしまた会えたら、素敵だね。

 

Koya Backpackersの涼しくも濃厚なマジックは、快適な新幹線に揺られてウトウトし、都会の灼熱風景に目を覚ましたら、なんだか夢だったのかなと思うように少しずつ溶けていったのでした。

 

 

2022年

11月

23日

京都 '22

伏見稲荷
伏見稲荷

 

京都に行ってきました。

 

帰りの移動中ずっと大雨でしたが、滞在中はなんとか天気がもってくれたからラッキーでした。

 

姉が帰国することがわかったときに、「その時期なら京都行こうよ」って行ったら「ちょうどそれ考えてた!」って返事があり、それならと両親を誘って2泊3日で行ってきました(ちなみに私の渡豪より先に決まっていました)。毎年行きたいと思いながら、人の多さに遠ざかって22年くらい。ベタな観光スポットを実質1日半で周ったのでゆっくりのんびりとはならなかったけど、紅葉もちょうど見頃で今年はもう旅行十分!ってくらい堪能しました。写真はうまい具合に人のいないタイミングで撮れたりしたけど、それなりに人は多かったです。着物着てる人もたくさんいて皆さん楽しそうでした。

 

私は修学旅行の古い記憶が蘇ったり繋がったりして脳内アップデート完了。

京都という土地の独自性は様々な美意識に反映されていて、言葉も柔らかで美しく、日本の中でもやはり特別な土地なのだなと実感しました。

 

 

また写真整理しようと思います!→*11/28 アルバム追加しました。

 

 

嵯峨野
嵯峨野
嵐山
嵐山
南禅寺
南禅寺
八坂神社前
八坂神社前
五重塔
五重塔
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2018年

6月

23日

日米別インテリア事情

最後のアメリカ備忘録。

 

上の写真は、私がアメリカ後半2年間を過ごしたお家のリビング。当時は全くこんなにオシャレではなかったけど、その当時のルームメイトの一人が今は奥さんと(猫と)一緒にこの家に住んでいて、この7月には引っ越すことになっているので、ほんとギリギリ、奇跡的なタイミングでまたこの場所で集うことができたのは旅のハイライトの一つだった。

 

諸事情によりここのオーナー(元ルームメイトの一人)以外が集合となったけど、やっぱり家も人もみんな素敵で最高の一時だった!BBQをやるよと聞いていたから、どうせアメリカンな肉の塊とビールのシンプルスタイルかと思っていたら(失礼すぎ)、素敵なアパタイザーが並び、オシャレなカクテルを入れてくれて、なんだが以前と様子が違う!リノの街全体を通して感じたことだけど、みんな、オシャレになっている!以前は町中を走って空気を汚していたピックアップトラックの数は目方1/3くらいに減り、実用的な大きさの日本車や韓国車が増え、美味しいレストランが増え、あちこちにできていた寿司レストランにはアメリカ人がたくさん、お箸で丁寧に食事をしている。うん、いい感じで変化している!

 

 

この家に関しては、奥さん・ケリーのセンスがいいことが大きいけれど、アメリカンというより、ヨーロピアンなテイストを感じて私は家の隅から隅まで眺め回し、写真を撮りまくり、主人のジョナサンから「ハナエはあんなに写真を撮ってどうするつもりだ」と冗談半分にスパイ疑惑を持たれる始末・・・。

 

考えてみると、日本は今ミニマリズムが大流行中で、私も今の和風な家に移ってからは割とシンプルな内装好みに変わっているけど、ここまでゴテゴテに飾り尽くすインテリアも、その「好き!」の気持ちをいっぱい感じる分だけ、やっぱり好きだなと思った。まぁ、和風建築にはシンプルな内装の方が似合ってしまうのだけど。

 

そして改めて思ったのが、アートを飾ることの日常性。日本では、アート作品を買ったり飾ったりすることがやたらと高尚な行為のように思われているけれど、こちらの人は好きだったら有名・無名関係なく手に入れて(値段もピンキリ)、好きに飾って楽しむ。インテリアとして、クッションカバーやカーテンを変えるかのように、季節や気分によって楽しむ。

 

 

これも勝手な印象かもしれないけれど、日本のホテルや旅館でよく見受けられる光景として、一度飾られた作品がいつまでもその壁に掛かり留まり、その飾られた年代分だけ、色あせ、埃を被り、その壁の一部だけ時代から取り残されたかのように、異様な空気を放って放置されているのとは、大違いな愛でられ方。

 

もう一つ大きな違いは、賃貸なのにここまで遊ばせてくれること・・・。日本の賃貸はどこに行っても似たような味気ないクロスが貼られていて、まぁせっかく好きなアート作品を買ったとしても、飾りがいがないのもよくわかる。アートを飾るのは素敵なマイホームを手に入れた人の、さらに上のレベル・・・だなんて、この辺の価値観の違いはだいぶ日本のアート市場に大きく影響しているといつも思う。

 

このお家は遊ばせすぎでしょ、ってくらい、裏庭も、外庭も、本当に好き放題させていて、住んだ期間たったの4年間でよくここまでいじられたなって思うくらいやりたい放題。裏庭にはなんか手作りのコテージみたいなのも作っちゃってる(これも2代目だとか)。笑 これがまた素敵なセンスで!表の庭は以前は芝生が敷かれていただけだったんだけど、今はガーデニングエリアに。欧米の人は家にたくさんの時間やお金をかけ、豊かにし、そこに人を招く。

 

もちろん全て敢えて一般的に言うことだけど、日本の人は、外に持ち出すもの(洋服・靴・バッグ・車、等々)にお金をかけ、家の中は生活感でごちゃごちゃだから、おもてなしは素敵なレストラン頼み、旦那さんは外飲みにお金を費やす。そんなんだから、そんな価値観でアート作品の購入にお金が回ってくることなんて、まずないと言っていい。最近のインスタブームで多少家の中も気を配るようにはなったかもしれないけど、まぁどちらにしても、この辺りの違いは、残念ながら今も昔も大して変わっていないのでした。

 

日本の賃貸業者さん、日本のインスタグラマーさん、日本の画商さん、どうぞこの辺り、真剣に、切実に、ご検証願います。

 

 

って、変な備忘録になっちゃった。

 

写真だけたっぷり載せて、アメリカ旅行記、終わり!

 

2018年

6月

05日

似合わないけど好きな人

学生時代一番時間を過ごしたアートスタジオの入り口。不安な気持ちで開けることの方が多かった
学生時代一番時間を過ごしたアートスタジオの入り口。不安な気持ちで開けることの方が多かった

今回楽しみにしていたことの一つは、母校である大学University of Nevada, Reno (UNR)のキャンパスを訪れること。当時からキャンパスの拡大計画は公表されていて、どう変わっているのか楽しみだったけど、新しい部分と、昔からの部分、どちらも見られて楽しかった。

 

当時のハウスメイトの一人、アメリカ人のナンシーが付き合ってくれて、キャンパスを色々と周ったのが確か金曜日。翌日土曜日に卒業式を控え、授業は全て終わっているので学生も先生もほとんど見かけないのだけど、普通に建物に入れたし、なぜかありがたいことに教室は鍵もかかっていない上、電気までついている!おかげで気兼ねなく侵入し、写真を撮って遊ばせてもらった。

 

一番多くの時間を過ごしたアートビルディングは、入った瞬間昔と同じ匂いにやられ、数々の記憶が蘇ってきた。3階のアートスタジオ(上の写真)はレイアウトが変わっていたけど、あのいい意味での小汚さは当時のままだった。

 

そのスタジオの角に、私が唯一(一方的に)恩師と思っているDrawingの教授、Mr. Michael Sarichの描きかけの作品が置かれていた。驚くほどに、彼のペインティングが1ミリも揺らぐことなく、相変わらずのスタイルとタッチで存在していたことが今回は実に嬉しかった。

 

Mr. Michael Sarich制作途中の作品。勝手に載せたら怒られるかな
Mr. Michael Sarich制作途中の作品。勝手に載せたら怒られるかな

マイク(向こうは教授でも結構ファーストネームで呼ぶ)が初めて授業に現れた時のことをよく覚えている。

 

グレーのロン毛を低く後ろに束ね、痩せこけた顎にもグレーの髭を生やしている。ひょろりと骨ばった身体にゆったりと柄シャツを着て、袖から見える腕にはたくさんのタトゥーが入っていた。何よりも印象的だったのが、入って来た時のマイクの少し痺れたような震える肢体と、びっこを引いた歩き方。話す言葉も、訛りがあるのか(?)聞き取りづらい。私は勝手に、(いかにもアーティストらしく)お酒か何かの影響を受けてしまっている人なのかと思い込んでしまった。

 

 

その震えの原因が実はアルコールではなくて、パーキンソン病だったというのは、本人から初日のうちに知らされたと思うが、それを聞いた時は、見た目で判断した自分を大いに恥じた。当時既に発症して6年くらいだったと思うが、思うように身体が動かなくなるパーキンソン病を患いながら、マイクが描く絵は尖っていて懸命だった。「いつ描けなくなるかわからないから」と、生徒が描いている合間にも描くその画や彫刻は、正直好みを選ぶものではあったけど、揺るがない強さと情熱があったし、一枚一枚を大事にしない生徒に苛立つような様子も時には見られた。

 

マイクの特徴を色々書いたけど、私にとって一番印象的だったのは、その青すぎるほどよく澄んだ目だった。

 

マイクはその魅力的な青い目で、ほとんど瞬間的に、生徒の作品の何がうまくいっていて、何がうまくいっていないかを見抜いてしまう。しかもそれを正確に言葉で表現し、その言葉は時に理解するまで数日、数ヶ月、または卒業後の数年までかかることもあったけど、理解した瞬間はいつも感動であった。

 

そんなマイクのクラスでの、二週間に一度のcritique(論評)は回を重ねるごとに縮こまるほど恐ろしなっていった。マイクに褒められた作品は誇らしく、けなされた作品は、物によっては姿を消した。いつしか、作品を描いているうちから、マイクのあの青く透き通った二つの瞳が、自分と作品の間を遮るようになった。マイクに何を言われるだろう、そして自分はどう語ろうかと、頭の中でも、声に出しても、何度も繰り返しイメージしてからcritiqueに臨んだ。

 

これもマイクの作品。相変わらず尖っていて嬉しい
これもマイクの作品。相変わらず尖っていて嬉しい

一緒にいたナンシーもマイクの作品を多少知っていて、「ミッキーマウスのモンスター」と彼の作品への評価はネガティブなものだったけど、私はそのスタイルが本当に1ミリも変わることなく健在だったことに、今回は笑ってしまうほど嬉しくなった。私も好きかと言われたら「うーん」となるところではあるけれど、今回改めてマイクの作品を観て、以前の私では知覚できなかった技術を確かに感じて、観るべきものはやはりあると気付かされた。ポップとも取れる表現なので日本人受けしやすい気もするが、ディスニーなどのモチーフの可愛らしさから単に「かわいい」と表現するのは安直すぎる。かといって彼が繰り返し使うシンボリズムの真意は、私もまだ理解しきれずにいる・・・。

 

私を知っていて、マイクのこの作品と印象を知ったばかりの方は、この対極的な二人がどう交わるのか想像がつかないかもしれない。私にとっても、正直これほどまでに強面で立場的にも脅威的な人はいなかった。マイクと私は、アートを介してでなければ一言も話すことなんてなかったと断言できるけど、作品が私とマイクの間に、コミュニケーションを反射させる鏡のように存在し、私たちは少し、お互いのことを知ることができたのである。アートがvisual language(視覚言語)と言われる所以であり、今よりもずっと言葉に不自由で引っ込み思案だった私は、他学生とのコミュニケーションにおいても、そのvisual languageに大いに救われた。マイクは、案外私の作品を好意的に、時には寛大すぎるほどに評価してくれたこともあり、それが今の自分を支えているところも大きい。

 

このモチーフも昔から変わらない
このモチーフも昔から変わらない

忘れられないマイクが語ってくれたエピソードがある。ある時彼が作品を家族にプレゼントしたところ、その作品が飾られずに、ソファーの下に隠すようにしまわれていたという。もし私だったら、悲しくて人には言えないことだと思うけど、その後彼が言ったのはこうだった。「自分が自分の作品の一番の擁護者であれ。」

誰に批判されようとも、世の中で誰一人も認めてくれなくても、自分は自分の作品を全力で守れ・・・。

 

これは逆に言えば、自分が守れないような作品は作るな、と言うことだと思う。守れないような、自分でも不確かな作品は世に発表するべきではないし、発表したからには責任を持て。

この教えは、私が作品を仕上げる時にいつも「擁護できるか」確認する所以となった。

 

 

 

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2018年

5月

26日

遠くも近く、近くも遠く

Photo by Dr. Yumiko Esaki  2018 Reno, Nevada
Photo by Dr. Yumiko Esaki 2018 Reno, Nevada

 

1週間ばかり、アメリカに行っていました。

アメリカは、ネバダ州リノ。私が大学生活のうち3年間を過ごした街。

 

貯めていたマイレージを使い切って余分なクレジットカードを解約するためにも、いつかまた戻りたいなと思っていたところに、リノで医学部に通っていたゆみこからの朗報。「卒業する!」・・・機を得たりと即決し、1週間のお休みをもらい、飛んでいきました。

 

 

ゆみことは不思議な縁で、大学時代3年間知り合う機会があったにも関わらず、最後の3ヶ月くらいでようやく知り合いになり、それからはしょっちゅう会うわけでもないのに年に1、2回のクリスマスカードやらで繋がり続け、機会を見つけては横浜や福岡で訪ね合い、同期が皆帰国する中、彼女だけはリノに(ほぼ)留まり続け、8年間(?)スタバで働きながら医学部に入る夢を諦めず、ついにそれを叶えた人。4年前に「入学する!」って聞いた時もなかなか興奮したけど、今回の卒業も、彼女の紆余曲折の歴史を多少なりとも知っている身としては、本当に本当に、感慨深いものがあった。

 

人生って、先ばかりを見つめると恐ろしく長い気がするけど、過ぎ去ってみて振り返ると、意外と短く感じたりする不思議なものである。もちろんゆみこの医学部での4年間は私なんかには想像もできないほど忙しく、長いものだっただろうけど、つまりは30を過ぎ、一般的に遅かったかもしれない彼女の入学も、今となれば全然遅くはなかったということが言いたい訳で。これから彼女が医者として活躍できる可能性を鑑みれば!

 

それにしてもアメリカで医者になるって、本当に本当に大変なこと!ゆみこ、何度も言ったけどまた言うね、おめでとう!!

 

 

このあとニューヨーク州で新たにResidensy(研修生)として働くために、大陸を6日間かけて(愛猫と!)横断引越し旅行するという忙しさの中にも関わらず、私に付き合って色々なところに連れて行ってくれてありがとう。

 

リノに住んでいた時に、やりたくてもやらなかったことの一つとして、「Nの山に登る」というのがあった。Nの山とは、文字通りNと書かれた山のことで、正式名称があるのかどうか、Nが何を意味するのかについては、誰に聞いても正確なところはわからない(おそらく大学のロゴのN(Nevada州から来てる?)と思われる)。「ただの石があるだけで何もないよ」というネガティブなコメントをいつか誰かから聞いてから、つまらないことに誘うようで誰にも声がかけられなかったけれど、今回こそはと試しにゆみこに声をかけてみたら、「最後の思い出にぜひ行こう!」とノリノリな返事が返ってきたので嬉しかった。

 

 

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2017年

11月

05日

また

 

行ってきました、軽井沢!

 

大きな台風が過ぎた後の週末だったので被らなくてよかった〜と思っていたら、短い期間に2つ目の台風が発生・・・。おかげさまで、雨女の疑いが濃厚になってしまいました(前回も天気が良くなかったから・・・)。この3連休は憎いほど(いえ、素敵な)秋晴れを少々恨みながら、必死にパソコンに向かっています。今月は踏ん張りどころだなぁ〜、頑張れハナエ!・・・の束の間の逃避行。

 

今回は、前回行けなかったハイキングにどうしても行きたかったので、着いた当日、天気がいいうちにその足で1時間半ほどハイキング。数日前の台風の爪痕が生々しく、地面に大量に落ちた小枝や枯葉をポキポキ、ワサワサと鳴らしながら、私が好きな、ゆる〜い道を行く。途中、道の入り口にバーが敷かれ「クマに注意」と書かれた看板に出くわし一瞬たじろぐも、ここまで来たのに引き返すつもりは私も友人も毛頭なく、おしゃべりと、枝をいつもより多く鳴らす作戦でバーをくぐり抜け、前に進む。その日は目的地の千ヶ滝までは時間的にたどり着けそうにもなかったので、真ん中くらいで引き返し、短いながらも頭のてっぺんから足の裏まで自然に浸る幸福を感じられて嬉しかった!夜は、食材を調達し、その日一緒にいたお客さんやオーナーたちとプチ宴会。無意識に買い集めた食材の、まぁ全てが茶色かったこと・・・。笑 

 

翌朝はすでに雲行き怪しくも、お昼までは持つだろうとのこと。私の友人は体調不良でダウンしていたので、一緒に泊まっていた日本大好き中国人男性と、気ままなバイク旅に来ていた日本人男性を誘い出し、前日行けなかった千ヶ滝まで、もう一回ハイキング!前日である程度コースを知っていたので、なぜか2人から「リーダー」と称され(笑)、知り合って間もない3人で楽しく歩いたのでした。目的地の滝の上の崖では、カモシカを発見!イノシシかと思ったくらい、鹿にしては足や首が短いんだなぁと学びました。一緒に行ってくれたゴードンとケイタくん、(読んでないだろうけど)ありがとう!

 

翌日、オーナーに勧められたソーセージ屋さんで、なぜかソーセージでないランチにそそられ食べていたら、隣に座ったカップルが、「今日千ヶ滝のハイキングの途中で、100メートルくらい先にクマを見たんですよ〜」と話すのが聞こえ、私と友人は、「!!!」・・・遭遇しなくてよかった〜と一息ついたのでした・・・。

 

2017年

8月

16日

初カル

 

長〜くありがたかった夏休みを終えて、昨日からお仕事が再開しました。

 

夏休み中、横浜にいる間はこもってデザインや手作り絵本制作を進め、あとは初めての軽井沢と定番の山中湖でとにかく暑さから逃げまくっていました!

 

こちらは油やさんの隣にある追分コロニーというこれまた素敵な古本屋さん。油やはその左隣のちょっと奥まった所にある
こちらは油やさんの隣にある追分コロニーというこれまた素敵な古本屋さん。油やはその左隣のちょっと奥まった所にある

特にパッとした予定もなかったから、ちょっとだけ気軽な国内旅行をしようと思い立ち、まだ行ったことのなかった軽井沢に行こう!と宿の予約を入れたその夜・・・。日頃お世話になっている立川志の八さんのマネージャー(?)高橋さんという女性の方のご紹介で(私の個展にも来てくださったりと応援してくださっています・・・ありがとうございます!)、追分(軽井沢駅から2駅)の油やさんというとても歴史と趣のある場所に、私のABCアニマルズをとのご紹介メールを、まさに引き寄せのタイミングでいただきました!油やさんは、かつて様々な作家が宿泊し、現在はお宿兼アートスペースとして再開発された場所で、実際に行ってみたらうまく説明できないけれど想像以上に興味深い空間でした!志の八さんがたまに落語会をしているのは知っていたけど、数時間しかなかったことが本当に悔やまれました。荷物が多くて油やさんの写真を撮り損ねてしまったのだけど、次回は何も予定せずに、ただ油やさんとその近辺でくつろぐことを目的に追分に遊びに行こうと思いました。ご丁寧にお迎えやご案内いただきました油やと追分コロニーの斎藤さん、ありがとうございました!(*冬期は油やさんが閉まる為、追分コロニーにてABCアニマルズを取り扱っていただく予定です。)

 

あまりよく知らなかったのですが、追分はJRの軽井沢駅からは西に2駅の位置にあり、「風立ちぬ」の堀辰雄など多くの作家に愛された土地。とにかく緑が綺麗で、もう7月も終わりというのに、新緑のように明るく瑞々しく、この時期でこれなら実際の新緑の時期はきっと眩しいくらいだろうなって想像してドキドキしました。のんびりと読書や創作をするには確かに、絶対に最適な場所!

 

そして追分から宿のある中軽井沢に向かうバス停の横に、こんな粋な文庫ボックス「夢の箱」なるものを発見!本を持って行きたい人は代わりに何か入れてね、っていうような(確か)システムで、待っている間にも退屈しないようにっていうこんな思いやりすらも、知的な追分らしさを感じました。

 

 

 

教えてもらった話ですが、軽井沢辺りの地域は浅間山に向かって沿うような立地なので、常にゆるく傾斜がかっており、徒歩での移動は少し大変・・・。貸自転車もあるけど、行きか帰りは必ず坂道になるから、どっちがいいかわからず結局徒歩とバスで移動することに。もともとハイキング目的で来たので歩くのは構わないと思ったけど、イメージしてるようにスムーズには移動できないので、やっぱり山中湖同様こういう土地は車があった方が便利なのかなと思いました。

 

まぁとにかく、そんなこんなで中軽井沢駅からゆっくり北上すること40分くらい歩き、目的のお宿Koya Backpackersに到着。若い男性オーナーさんが昨年から一人で切り盛りされている、古民家を改築したゲストハウスで、写真を見たときからここに行きたい!って思った直感は確かで、思った通り素敵だった!

 

どういう経緯かわからないけど、おばあさま所有の築年数104年(!?)の建物をわざわざこの場所に移築して去年バックパッカー用の宿として開業したとのこと。入ると気づくけど、規格が今の和建築とは違うなっていう、ちょっと現代人にはこじんまりとした感覚。でもそれがまた心地よくて、襖の向こう側や別階の人の気配をいやでも感じるから、無意識にでも気遣い合うし、会えば必然的に会話することになる。もしかしたら昔はこういうところから自然と思いやりや礼儀作法を養っていったのかなぁって思ったりしました。建物は古いといえど汚らしさは一切なく、水回りは全て新しいのでとっても清潔感があって快適!いいところを生かし、必要な部分を上手く改良するセンスをあちこちに感じました。

 

 

2日目の夜は一緒に泊まっていた人たちで一人800円くらいで持ち寄りディナーをしようってなって、キッチンを譲り合いながら用意したオランダ・台湾・日本の3カ国ディナーは素朴ながらも最高だった!

 

軽井沢は本当はハイキングがしたくて来たのだけど、あいにくの天気で断念・・・千住博美術館や石の教会くらいしか行けなかったんだけど、迷ったせいもあって徒歩やバスでくたびれちゃって、あぁ何しにここまで来たんだと少し反省。こういうところではあまり予定を入れずに、自然を感じながらゆっくりするのが正解だなって思いました。秋も絶対に綺麗だなって思ったから、今度は本当にのんびりするつもりで、でもハイキングのリベンジも兼ねて行こうと思います。

 

本当に楽しかった!いろんな出会いや豊かな自然や時間に、改めて感謝。

 

2016年

11月

29日

Colors of Autumn

またまたご無沙汰してしまいました。

 

予告通り、個展後に行ったハイキングの写真載せます!

 

行った山は御岳山(みたけやま)といって、東京・奥多摩の方。秋晴れの気持ちいい週末なんて、人生であと何十年生きたとしても、あと何十回しかないかと思ったらやっぱり貴重で、ちょっと遠かったけど早起きして出かける。横浜から電車で3時間くらい、万全なつもりでも寝不足と個展終わりの疲労(?)を否めず、最初の登りでかつてないほど変な汗をかいてしまった。今までで一番調子の悪い登山だったかも・・・だけど天気は上々、紅葉もベストタイミングな週末だったから、行けてよかった!私含め、色んな人間があの手この手で色々とやってみてるけど、結局自然に勝る美術館はないなといつも思う。

 

実は書くタイミングなかったけど、この夏13年ぶりに富士登山しまして(これもまた書けたら書きます!)、その下山時に痛めた右膝の裏が後半全く同じように痛み出したので、行きではスルーしたケーブルカーとバスをありがたく使わせてもらって帰りました。でも欲してた自然のエネルギーをチャージできたし、まだ数週間は、貴重なハイキングのチャンスを狙うつもり・・・。

 

Went to a hiking at Mt. Mitake in Okutama, Tokyo, on the following weekend after my solo exhibition. Hiking is almost the only outdoor sport I am willing to do myself (I like other sports too, but need to be called by other people!). I like how I am urged by the autumn's dry and mild climate, so precious between the steamy hot summer and chilly winter season. Since I grew up in a forest (sort of), I need lots of greens around me and every time I am soaked in such an environment, I feel that nature is the best museum after all.

 

Unfortunately, however, my condition wasn't too good, and I had had the most weird sweat ever! And as I climbed down, the back of my right knee (where I hurt at Mt. Fuji climbing in the summer which I haven't had a chance to mention until now) started hurt the same way, and I was thankful to have the cable car and bus to go back to the station... I guess I need more workout, but surely I will look for some more chances to hike this year... ;)

 

2016年

10月

13日

この夏見た綺麗なものたち(結婚式・ナント編)

もうすっかり夏ではないからそそくさと。
ニースの後は、いよいよこの旅行のメインイベントだった、兄の結婚式のためにla ferte imbaultというフランス中程の小さな村へ。
 
その途中、Chateau de Chambord(シャンボール城)という、フランス一大きいとかいうお城で、それまで別々に旅行していた家族が無事に合流して大集合!からの、観光!重厚な石造りの大きなお城の割には、外装飾が丸とか四角とか三角の可愛らしい幾何学模様でできててなんだか可愛らしい。
その後着いたお嫁さんのご実家は大きな一軒家で、なんと猫ちゃんが2匹!ツンとされると、よけい仲良くしたくなる・・・。その日の夜には私の部屋に来てくれたから、久しぶりに猫を飼っていた時の幸せな気分を味わえて、また猫飼いたい欲が増幅・・・。そして、兄の娘ちゃんにも出生5ヶ月後にしてようやく出会えて、本当に誰でも大丈夫なくらいに穏やかで可愛くて賢い雰囲気もあって、ほとんど取り合いみたいに色んな人達に抱っこされていました。
翌日の結婚式は、映画に出てきそうなかわいい石造りの教会で、神父さんも(何を言ってるかわからないけど)ユーモアのある挙式で終始笑いがあり楽しい雰囲気。何にしても、兄とお嫁さんが、これだけ大勢(100人強?)の方々に祝福されているのを見られたのは、嬉しかったし、安心した・・・。その後、長い、長〜い祝宴が始まる・・・。フランス人、こんなに時間にゆるいと思わなかったけど、だからこそ兄には合ってるんだろうな・・・笑
最後の2日は、ワイナリーに寄りながらの、兄夫婦が生活するナントという街へ移動。この街、第2次世界大戦で半壊した歴史があり、新旧の両方を感じることのできる魅力的な街。La Machineという遊園地みたいなところがあるのだけど(大きな機械仕掛けの動物モチーフの乗り物で有名。蜘蛛のマシーンが横浜にも来たことがある)、私、半日は過ごせる!っていうくらいに見ていて楽しかった!!リアルライフ宮崎駿世界、っていう感じで、こういう大人のクリエイティビティはすごくいいな・・・!
とにかく、最初から最後までずっと晴れっぱなしの素晴らしい旅行は久しぶりだった!また夏のヨーロッパ、遊びに行こうーっと(やーっと夏の話終了・・・!)

 

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